【写真特集】命をかけた旅の結末 法の名の下に拘束される移民たち

静まり返った裁判所の廊下から、次々と移民が連行されていく。ニューヨーク・マンハッタンの移民裁判所では、一時保護資格(TPS)で入国したか、国境で亡命を申請し制度に従い審問に訪れた人々が、裁判官の決定にかかわらず拘束されている。 移民関税執行局(ICE)の作戦を執行するのは、税関・国境取締局や外交保安局、FBIなどの捜査官。逮捕された移民は、ある者は遠く離れた拘置所に送られ、ある者は本国に強制送還される。 写真家ニコロ・フィリッポ・ロッソは、2025年6月以降ほぼ毎日、マンハッタンの移民裁判所に通いカメラを構えた。そこに写し出されたのは、移民の命懸けの旅を締めくくるにはあまりに悲惨な現実だ。 防弾チョッキと銃を身に着けた覆面の捜査官が移民を取り囲み、引きずっていく。子供は泣き、親子や配偶者は引き裂かれる。厳格な国境管理を求める声と人道的対応を求める声は衝突し、国内の亀裂は拡大する一方。恐怖をあおる政治に翻弄され、アメリカの民主主義も危険にさらされている。 撮影:ニコロ・フィリッポ・ロッソ 1985年イタリア生まれ。中東、アフリカ、南北アメリカなどの疎外された脆弱なコミュニティー、移民危機、紛争、気候変動をテーマに活動するドキュメンタリー写真家。被写体に対する深い理解を、写真を見る人々と共有することを目指す 【連載第1012回】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」2025年12月23日号掲載

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