自販機にピースサイン 、体調不良は「ばい菌の仕業」…死刑判決から半世紀超、記者が見た袴田さんの拘禁症状 無罪確定後は変化を感じさせる言葉も。釈放から10年、姉と2人暮らしの日常

今年9月、静岡地方裁判所は58年前に起きた強盗殺人事件を巡り、袴田巌さんに対するやり直しの裁判(再審)で無罪判決を言い渡した。最初の裁判で1968年に死刑判決を受け、それが確定した後も無実を訴え続けてきた袴田さん。今回の再審では捜査機関による証拠捏造が認められ、ようやく無罪になったが、長期間に及ぶ死刑囚としての日々で精神を病み、今も現実離れした言動や奇妙な行動を続ける。一方で、無罪が確定した後は少しずつ状況を理解しているような言葉も増えてきた。袴田さんは何に苦しんでいて、どんな日常を過ごしているのか。姉ひで子さん(91)と暮らす家に取材で通う記者が、袴田さんの今を報告する。(共同通信=柳沢希望) ▽身に覚えのない罪で死刑、執行の恐怖で次第に意思疎通困難に 1936年、現在の浜松市に生まれた袴田さんは日本ランキング上位に入ったこともある元プロボクサーで、20代で引退後、静岡県清水市(現在は静岡市)のみそ製造工場に住み込みで働いた。

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