警視庁公安部による機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件をめぐり、勾留中に胃がんが見つかり「被告」のまま亡くなった同社元顧問の遺族による研修が30日、警察庁の警察大学校(東京都府中市)で行われた。冤罪事件の関係者による警察官向けの研修は異例という。 警察庁によると、都道府県警の幹部を対象にした特別捜査幹部研修所での講義で、講師として同社顧問だった相嶋静夫さんの長男と代理人の高田剛弁護士が招かれた。 研修は事件の教訓や反省を今後の捜査に生かす目的で、80分間行われた。都道府県警の幹部35人や警察庁外事課幹部のほか、事件を機に同庁に設置された適正捜査指導室からも参加した。 長男によると、研修では、大川原冤罪事件の経緯を振り返りつつ、組織が間違った方向に進んでいった時には、「正しくない」と声を上げられるようにしないといけないことなどを伝えたという。 研修後、長男は取材に対して「どんな事件でも、倫理観や節目で振り返ることが重要だ。(研修を)再発防止に生かしてもらえたらと思う」と話した。 ■「これからの日本警察を背負う人材」 高田弁護士は「自分ならどうするか、当事者意識を持って聞いてもらえたと思う」と研修を振り返り、「これからの日本警察を背負う人材。組織を引っ張っていくにはどうしたらよいか、いま一度立ち返って考えてほしい」と話した。 冤罪事件をめぐっては、軍事転用可能な機器を中国に不正輸出したとして逮捕・起訴され、長期間勾留されたのは違法だとして、同社社長らが国と東京都に賠償を求めて提訴。東京高裁が2025年5月、捜査を尽くさずに逮捕・起訴したのは違法などと認定した。国と都に計約1億6600万円の支払いを命じている。(板倉大地、松田果穂)