英王室アンドリュー氏は米議会で証言すべきとスターマー英首相 新たに公開のエプスティーン元被告資料に複数写真

ジェイミー・ホワイトヘッド イギリスのキア・スターマー首相は1月31日、性犯罪で有罪とされた富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)との関係をめぐり、イギリス王室のアンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー氏が米議会で証言すべきだとの考えを示した。アメリカの司法省は前日、元被告に関する資料数百万点を新たに公開。その中に、マウントバッテン=ウィンザー氏に関する内容も複数含まれていた。同氏が、着衣であおむけに横たわる女性の隣で両ひざをついたり、腹部に手をあてている写真もあった。 東京を訪れていたスターマー首相は記者団に、「証言することについて私は常に、情報を持つ人間は誰だろうと、その情報を共有するつもりでいるべきだと、そう言い続けてきた」と述べた。 首相はさらに、「そのつもりでいないなら、被害者中心でなどいられない」、「エプスティーンの被害者が最優先されなくてはならない」と強調した。 BBCニュースは元王子のマウントバッテン=ウィンザー氏にコメントを求めている。同氏は不正行為を繰り返し否定している。 米野党・民主党の連邦議員たちは昨年11月、エプスティーン元被告に関する自分たちの調査の一環として、マウントバッテン=ウィンザー氏に質問に答えるよう求めた。 スターマー首相は当時、その要請に応じるかどうかはマウントバッテン=ウィンザー氏が「個人的」に判断すべき事柄だと述べていた。 アメリカ司法省は30日、ドナルド・トランプ米大統領が署名した法律で定められた期限から6週間を経て、エプスティーン元被告に関連する300万ページを超える文書を公開した。 着衣のマウントバッテン=ウィンザー氏が、着衣であおむけになった女性の横で膝をつき、女性の両脇に手をついたり、女性の腹部に手をあてたりしている写真について、司法省はどういう状況のものか説明していない。女性の両脇に手をついたマウントバッテン=ウィンザー氏が、カメラを見上げている写真もある。女性の顔は黒塗りされ、身元も明らかになっていない。 写真は、ニューヨーク市内のエプスティーン元被告の自宅内部と一致するように見える。BBCヴェリファイ(検証チーム)は、写真に写る装飾が、エプスティーン邸内の他の画像と整合していることを確認している。 写真の公開によって、エプスティーン元被告との過去の友人関係をめぐって長年にわたり追及されてきたマウントバッテン=ウィンザー氏への圧力がさらに高まる可能性がある。彼は不正行為を繰り返し否定している。 マウントバッテン=ウィンザー氏は、以前はアンドリュー王子およびヨーク公爵だったが、元被告との関係をめぐる追及が強まる中、昨年10月に王室の称号を剥奪された。 米司法省が1月30日に公開した資料からは、元被告と「公爵」との間のメールで、元被告が「公爵」を26歳の女性との夕食に招待していた可能性がうかがえる。 エプスティーン元被告は、その女性が2010年8月にはロンドンにいるはずだと書いている。 これに対して「公爵」は返信で、自分は「22日の朝までジュネーヴにいるが、彼女に会えるならうれしい」と書き、「彼女は君からの伝言を持ってくるのか? 私の連絡先を彼女に教えて、連絡できるようにしてほしい」としている。 さらに「公爵」は、その女性について「知っておくと有益な情報は、ほかにあるか」と元被告に尋ねている。 これに対して元被告は、「彼女は26歳でロシア人、賢くて(原文はclevereとcleverを誤記している)美しく、信頼できる。ええ、あなたのメールアドレスを知っている」と返信している。 一連のメールは2010年8月のもの。エプスティーン元被告はこの2年前に、未成年者への性的勧誘で有罪を認めている。 それらのメールには「A」という署名や、「HRHヨーク公爵KG」と読める署名が付けられている。HRHは「His Royal Highness(殿下)」、KGはイギリスの最高勲章である「ガーター勲章の騎士」を指す。いずれの呼称・称号も現在は剥奪されている。 元被告は2008年、未成年者に対する売春の勧誘で有罪判決を受け、性犯罪者として登録された。2019年には、性的人身取引の罪で訴追され、裁判を迎える前に同年、拘置施設で死亡した。 2008年の事件でエプスティーン元被告は、自分のオフィスへ週6日、1日12時間、外出を許される「就業許可」の取り決めで検察側と合意後、18カ月の刑を言い渡された。その13カ月後には、保護観察付きで釈放された。 マウントバッテン=ウィンザー氏はこれまで、エプスティーン元被告をめぐり自分は何の不正行為もしていないと繰り返してきた。「彼の逮捕と有罪判決につながったような行為を、見たことも、目撃したことも、疑ったこともない」と述べている。 今回公開された文書の中のメールに、不正行為をうかがわせる内容は含まれていない。BBCは、マウントバッテン=ウィンザー氏にコメントを求めている。 今回の文書公開では、エプスティーン元被告がマウントバッテン=ウィンザー氏の元妻で、元ヨーク公爵夫人のサラ・ファーガソン氏を15年間にわたり経済的に支援していた可能性も示されている。 ファーガソン氏は2009年にエプスティーン元被告とやり取りをし、自分の事業アイデアを詳しく伝えていた。 「あなたとの昼食の後」に複数の有名ブランドと会談したのだと説明し、「ジェフリー、私がずっと欲しかったお兄さんでいてくれてありがとう」と書いている。 ファーガソン氏はさらに同年、家賃の支払いとして2万ポンドが「今日」必要なのだと要求していた。 「家主は、払わないなら新聞に話すと脅している。何かいいアイディアはある?」と、ファーガソン氏は元被告に尋ねている。 米司法省が今回公開したメールでは、元被告がファーガソン氏に対し、自分が「小児性愛者ではない」という声明を出して欲しいと働きかけている。また、フロリダ州の民事裁判で原告側の弁護士が自分について虚偽の主張をしており、それにファーガソン氏が「だまされた」のだとしている。 元被告は2011年のやり取りでは、PR会社のマイク・シトリック氏に対し声明の原稿を用意するよう指示。「理想的にはファーギーが出すべき声明」だとしている。「ファーギー」はファーガソン氏の愛称。 これに対してシトリック氏は、「喜んで」と返信している。 BBCは、ファーガソン氏にコメントを求めている。 司法省が新しく公開した資料では、元被告が2009年に、英労働党の重鎮ピーター・マンデルソン卿の夫レイナルド・アヴィラ・ダ・シルヴァ氏に1万ポンド(現在のレートで約210万円)を送ったとされている。マンデルソン卿とダ・シルヴァ氏は2023年に結婚した。 マンデルソン卿は2024年12月、駐米英大使に任命された。しかし、1年もたたないうちに、有罪とされた元被告を応援するメッセージを送っていたことが明らかになり解任された。 ダ・シルヴァ氏は元被告へのメールで、オステオパシーの講習費用を示し、自らの銀行口座を伝え、「何かしら助けてもらえるなら、それが何でも」感謝するとしている。 元被告は数時間後に、「融資額をすぐ送金する」と返信し、ダ・シルヴァ氏はその翌日、「自分の口座に今朝入金があった。取り急ぎ、お礼を」と書いている。 マンデルソン卿はコメントを求められ、これまでにBBCのインタビューでエプスティーン元被告との関係について「きわめて明確」に説明してきたとして、「これ以上付け加えることはない」と述べた。 スターマー首相は31日にマンデルソン卿について記者団から尋ねられると、「昨年9月に明らかになった追加情報に関連して、大使を解任した」のだと述べた。 「ピーター・マンデルソンに関して、ほかに言うことは何もない」とも首相は話した。 米司法省が今回新しく公開した資料には、動画2000点以上と画像18万点以上が含まれている。多くの文書は大幅に黒塗りされており、ページ全体が黒塗りとなっているものもある。 BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、米下院司法委員会の民主党議員らは、司法省に対し、事件資料の全容を即時閲覧できるよう要求している。 下院司法委の民主党議員団は、全資料の精査は「緊急」の課題だと主張。司法委では今後、パム・ボンディ司法長官が出席する公聴会が予定されている。 民主党議員たちは、司法省がエプスティーン関連文書に含まれると推定される資料の半分しか公開していないと指摘し、その理由を疑問視している。 文書に名前や写真が含まれていても、それ自体が不正行為を示すものではない。これまでに公開された資料で名前が挙がった多くの関係者は、不正行為を否定している。 (英語記事 Andrew should testify to US Congress, Starmer suggests after new photos)

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