先月20日に米ミネソタ州での移民取り締まり作戦の過程で拘束された5歳の男児とその父親が、自宅に戻った。テキサス州選出の連邦議会下院議員が1日、発表した。 ホアキン・カストロ下院議員は、リアム・コネホ・ラモスちゃんと、父親のアドリアン・アレクサンダー・コネホ・アリアスさんが、テキサス州ディリーの収容センターから解放され、ミネソタ州ミネアポリスへ戻ったと明らかにした。 カストロ議員は「リアムは今、自宅にいる。帽子とバックパックも持っている」と、ソーシャルメディアで報告した。リアムちゃんは拘束当時、ウサギ型の青い冬用帽子をかぶり、バックパックを背負っていた。 2人の拘束は、収容施設の外での抗議につながり、国内で大きな反発を呼んだ。一方、国土安全保障省(DHS)は声明で「ICEは子どもを標的にしたり逮捕したりしていない」と述べた。 家族側の弁護士が申し立てた緊急要請を受け、テキサス州西部地区連邦地裁のフレッド・ビアリー判事が1月31日に父子の解放を命じた。 ビアリー判事は2人の拘束について、「無制限の権力を行使しようとする不実な欲望」によるものだと非難した。 「この事案は、たとえ子どもにトラウマを与えてでも、毎日の強制送還数のノルマを達成しようとする、政府の不適切で無能な政策執行に端を発している」 ビル・クリントン政権(民主党)の下で就任したビアリー判事は、国の移民制度を通じた強制送還は、現在実施されているものよりも、はるかに秩序のとれた人道的な政策の下で行われるべきだと述べた。 親子が収容されている間、カストロ議員はソーシャルメディアで、自宅に戻れず、家族やクラスメートから離れて過ごしているリアムちゃんの調子が良くないと報告していた。 DHSは、2人は不法入国者だと主張している。一方、家族側の弁護士は、2人が適切な手順に従って亡命を求めたと述べた。 DHSは1日、BBCがアメリカで提携するCBSニュースに宛てた声明で、「トランプ政権は、アメリカの移民制度に法の支配と常識を取り戻すことに尽力している。この国に滞在する権利のない外国人の逮捕、拘束、送還のために闘い続ける」と述べた。 ミネソタ州選出のイルハン・オマル連邦下院議員(民主党)もソーシャルメディアで、「リアムは今、自宅にいる。私たちは、彼と父親と一緒にミネアポリスへ来てくれた(ホアキン・カストロ氏)に感謝している」と記し、「リアム、おかえりなさい」と書いた。 ■連邦政府と地元教育当局で異なる主張 リアムちゃんが最初にICE職員から接触を受けた際に何が起きたのかをめぐっては、主張が相反している。 リアムちゃんは当時、保育施設から帰宅したばかりだった。学校当局によると、ICE職員は家の中にほかに人がいないか確認するため、玄関をノックするようリアムちゃんに求めた。その後、同居する別の成人がリアムちゃんを家の中に入れて保護しようとしたが、拒否されたという。 当時現場にいたメアリー・グランルンド教育委員は、自分がリアムちゃんを引き取れると移民当局に伝えたものの、ICEはそれでもリアムちゃんを拘束したのだと述べた。 これに対してICEは23日付のXへの投稿で、子どもは拘束されていないと否定。「犯罪者の不法外国人がICE職員から逃走する中で、子どもを放置したため、職員は厳しい寒さの中で子どもの安全を確保した」と書いた。 さらに、「ICEは、家の中にいた家族に対し、子どもを引き取るよう繰り返し働きかけた。家族側は子供の引き取りを拒否した。父親は、子どもと一緒にいたいと職員に伝えた」とも書いている。 22日に同州を訪れたJ・D・ヴァンス副大統領は、「父親が逃げた」ため、ICEには他の選択肢がなかったと説明した。 家族の代理人を務めるマーク・プロコシュ弁護士は、親子は2024年にエクアドルからアメリカに到着し、「定められた手続きをすべて順守していた」と述べた。 プロコシュ氏によると、2人は亡命するために国境施設からアメリカへ入り、米税関・国境警備局(CBP)が提供するアプリを使って予約を取り、CBPに出頭し、政府にすべての情報を提供してきたという プロコシュ氏はさらに、「この家族は、ICEから逃げようとしていたわけでは全くない。亡命申請のために定められたすべての手順に従い、裁判所の審理にも出席し、安全上の懸念も逃亡の恐れもなく、本来拘束されるべきではなかった」と述べた。 (英語記事 Boy, 5, and father detained by ICE return to Minnesota after release)