台湾の情報機関・国家安全局は23日、戒厳令時代(1949~87年)の政治的公文書約5万件を機密解除したと発表した。黒塗り処理をせずに5月に一般公開される。当時の国民党政権が民主化運動を弾圧したとされる事件の資料も含まれ、真相解明が期待される。 台湾は第二次大戦後、中国大陸から移った国民党政権が一党支配体制を確立。国民党政権は、反発した市民を武力弾圧した「2・28事件」(47年)が全島に広がると、49年に戒厳令を公布した。87年に解除されるまで、反体制派とみなした者に対する無差別な逮捕や処刑などが行われたが、実態は分かっていない。 台湾では現在、戒厳令下での人権侵害の実情の調査や相互和解を進める「移行期正義」の試みが続けられている。頼清徳総統は関連文書の公開を加速させると明言していて、国安局は「機密解除は台湾の民主主義の発展と国の歴史の伝承に資する」とした。 国安局によると、機密解除されたのは情報機関の業務や反体制的な出版物の調査、住民の出入境管理、海外での台湾独立団体の活動に関する資料や「反乱事件」の判決文など。 台湾紙「自由時報」によると、民主派議員の家族が殺害された「林義雄(りんぎゆう)母子惨殺事件」(80年)や民主派雑誌を支援した学者が変死体で見つかった「陳文成事件」(81年)など、当局の関与が指摘される事件の文書も含まれる。 国安局はこれまで約9万件の政治的公文書を機密解除している。今回は2024年11月に92年以前の公文書約56万件の点検に着手。国家発展委員会公文書管理局が政治的文書と認めた約5万件全てについて、機密解除と電子化を進めた。公文書管理局は5月にウェブサイト上で目録を公開し、文書の閲覧が可能になる。【台北・林哲平】