2015年に千葉県香取市の香取神宮で建物に油のような液体をかけたとして、米国在住の日本人の男が建造物損壊容疑で逮捕された。 当時は全国各地の貴重な歴史的建造物で同様の被害が相次いで発覚した。 いま、現場はどうなっているのか。千葉県内の現場を訪ねた。 香取神宮の境内にある宗教施設「神饌(しんせん)殿」。木造の建物に近づくと、扉に点々とシミがついているのが見えた。2015年に見つかった油のような液体によるシミが、いまも消えていない。 禰宜(ねぎ)を務める香田隆造さん(66)は、こう言って憤る。 「油の汚れは信者への侮辱。誇りを傷つけられたことが本当に残念だ」 県教委によると、香取神宮では重要文化財の楼門や国の登録有形文化財の拝殿など9棟が被害に遭った。 23年から、午(うま)年ごとに開かれる大祭に向けた修繕作業が進み、楼門や拝殿などは塗装が塗り直されて油の痕跡はなくなっている。 だが、神饌殿の扉などはいまもシミが残る。修復も検討されたが、一部の塗り替えでは全体の色がそろわず、様子を見ることになったという。 香田さんは、建造物損壊容疑で逮捕された男について、「動機を説明した上で謝罪し、正しく法に裁かれてほしい」と訴えた。 成田山新勝寺(成田市)では、総門や一切経堂など、境内の数カ所で被害が確認された。 当時は業者が拭き取るなどして清掃し、いまはシミは確認できなくなっているという。 千葉県教育委員会の担当者は「文化財の毀損(きそん)は大きな問題。自治体や所有者と連携を取り、文化財を傷つける行為が起こらないように努める」と取材に対し、コメントした。(宮下晶、武田百花)