東大、医学部付属病院を直轄に 医師汚職事件でガバナンス改革策

東京大は8日、医学部付属病院の医師らによる汚職事件が相次いだことを受け、ガバナンス改革策を公表した。病院を医学部から切り離して大学本部の直轄とした上で、相互チェックを利かせやすい体制を構築する。改革の進捗(しんちょく)は定期的に公表する。 藤井輝夫学長は記者会見の冒頭、「社会の常識と大きく乖離(かいり)した、閉鎖した組織風土を放置して事態を防げなかったこと、対応が大きく後手に回ったことに弁解の余地はない」と述べ、改めて謝罪した。 付属病院の直轄化は大学本部がリスク対応を迅速に行う狙いがある。一連の事件はいずれも病院での研究に絡んで発生したことから、病院への関与を強め、問題が起きた際の責任の所在も明確にする。 不正の端緒となりうる情報は従来部局ごとに対応するケースが多く、自浄作用が働きにくかった。このため、ガバナンス強化に当たって大学本部に「最高リスク責任者(CRO)」と「リスク・コンプライアンス統括部」を新設し、リスクに関する情報を一元的に集約する。研究者らの相互チェックが利きにくい土壌については小規模講座のグループ化で対応する。 また、信用失墜行為が発生した場合は個人に対する懲戒処分だけでなく所属組織に対する研究費の減額など懲罰的措置を新たに講じる。 大学の対応の問題点を調査してきた第三者委員会は3日に公表した報告書で、重要な意思決定の場面で議事録が作成されないなど「プロセス軽視の組織風土」があったと指摘した。この点について、藤井氏は「対応していかないといけないと考えているが、(現時点では)議論が詰まっていない」とし、具体的な対応策は先送りした。 ◇識者「全員の意識改革必要」 ガバナンスに詳しい青山学院大の八田進二名誉教授は「組織図上の立ち位置を変えたところで実態が変化するのか。進捗(しんちょく)状況を公開しながら数年かけてやっていく必要がある」と述べ、「約4万人規模の大学で、1人や2人専門家を入れたところで簡単に変わらない。要所に外の目を入れることは大切だが、全員の意識改革が必要だ」と話した。 東大では2025年、医療機器メーカーから賄賂を受け取ったとして東大病院医師の医学部元准教授=懲戒解雇=が逮捕され、収賄罪で在宅起訴された。26年1月には、共同研究の相手から性風俗を含む接待を受けたとして病院の皮膚科長だった大学院医学系研究科元教授=同=が逮捕され、収賄罪で起訴された。【斎藤文太郎、木許はるみ、小坂春乃】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加