SNSで募集する「バイト」に応募したが、実は犯罪行為への加担だった――。SNSを頻繁に使う若者たちを狙った犯罪が絶えない。募集しているのがどんな人たちかをしっかりと確認する必要がある。 「短期高収入」「ホワイト案件」「安全に稼げる」。そんな甘い言葉で募集をかけ、応募した人を特殊詐欺や強盗に加担させるのが「闇バイト」だ。背後には、SNSで緩くつながり犯罪を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」の存在がある。 ■「家族に危害」脅され 応募すると、やり取りの途中で身分証の画像などを送らされ、犯罪グループに個人情報を握られる。「家族に危害を加える」などと脅され、逮捕されるまで抜け出せなくなるケースも少なくない。 警察庁によると、2025年に詐欺など不正に資金を得る犯罪で摘発された匿流は1万2178人に上り、前年より約2千人増えた。SNSによる闇バイトの募集で集められ、特殊詐欺や強盗などの実行役となった人も多く含まれる。 手口は巧妙だ。罪の意識を抱きにくい仕事から始まり、徐々に深い犯罪に引き込む。 「口座を売るだけ」「スマホを契約して渡すだけ」といった簡単そうな仕事でも、銀行口座の売買や携帯電話の不正契約は、それ自体が犯罪だ。発覚すれば将来にわたって国内の金融機関で口座を作れなくなるおそれもある。 ■「VIP待遇」が「使い捨ての駒」に さらに危険なのが、「海外で稼げる」と誘い、カンボジアやミャンマーなどに渡航させたうえで詐欺拠点の建物に閉じ込めるケースだ。 空港での出迎えなど、拠点に入るまでは「ワクワクするようなVIP待遇」(警視庁の担当者)だが、それ自体が「わな」だ。現地では、日本にいる高齢者らから金をだまし取るために電話をかける役割などを強いられる。居眠りをするとスタンガンを当てられたり、逃げ出そうとすれば激しい暴行を受けたりする実態があるという。 警視庁の担当者は「闇バイトの応募者は、犯罪グループにとって使い捨ての駒。約束された報酬が支払われない例も多く、リスクに見合う見返りは決して得られない」と警鐘を鳴らす。 SNSや知人からの勧誘だけでなく、最近ではオンラインゲームのボイスチャットなどが悪用されるケースもあるという。警視庁は「申し込んでしまったら、迷わず警察に相談してほしい。安全な場所に保護する」と呼びかけている。(松田果穂)