調査で分かる被害は「氷山の一角」 国を挙げた対策必要 COAS代表・弁護士 高橋駿氏 RESPECTion!私はこう考える 誹謗中傷

アスリートを傷つける社会的な問題に向き合い、選手たちが安心して競技に専念できる社会を目指すプロジェクト「RESPECTion!(リスペクション)」が始動した。尊敬(リスペクト)の心を育て、行動(アクション)につなげるには、どうすればいいのだろうか。スポーツを巡る誹謗(ひぼう)中傷の根絶を目標にする団体「COAS(コアス)」代表を務める弁護士、高橋駿氏は、国を挙げた対策の必要性を提言する。 ■共通認識の芽生え 誹謗中傷を受けたアスリートが泣き寝入りするケースは珍しくない。選手本人やファンの間でさえ、「有名人なら、仕方ない」という諦めのような認識が広まっていることも問題だ。嫌な思いをしてもなかなか声を上げられず、これが悪循環の引き金となる。 SNSが一段と普及したこの10年で、問題は深刻化した。被害に苦しむ人が目立つようになったのは、加害者が増えたことの裏返しでもある。社会では、数年前まで問題意識は低調だったが、最近では「選手たちがひどい言葉を浴びせられている」という共通認識が芽生えつつある。関心が高まることは問題解決に向けた大きな一歩になる。それでも、克服すべき課題は多い。 第一に、選手側にとって法的措置の負担が重くのしかかるという現実がある。弁護士費用など金銭面だけでなく、プロにとって何よりも大切な練習時間を削られるリスクもつきまとう。 被害に向き合う精神的な負荷に加え、時間やコストを含めた多大な負担を強いられた果てに、発信者の特定ができないなど満足な結果を得られないこともあり得る。被害を受けても、選手側が法的措置を講じるのをためらってしまうのはこのためだ。いまの法制度では、限界がある。 仮に法的手続きが順調に進んで、加害者に慰謝料を請求することができたとしても、費やしたコストに見合った結論に至らないことも少なくない。これでは次の被害を防ぐために法的措置が持つ抑止機能がそがれてしまう。問題は金銭面だけにとどまらない。被害を受けた選手やその家族の気持ちが本当の意味で晴れることはないということにも着目すべきだ。 ■刑事事件化のリスク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加