熊本県八代市の新庁舎建設工事を巡る汚職事件で、警視庁と熊本県警の合同捜査本部は7日に市議会事務局に家宅捜索に入った。市役所は騒然となり、不正に憤る市民からは「捜査で全てを明らかにしてほしい」との声が漏れた。 市議の成松由紀夫容疑者(54)ら3人があっせん収賄容疑で逮捕された。2022年に完成した新庁舎建設に関し、市が業者を選ぶための評価基準に準大手ゼネコン「前田建設工業」(東京都)が作った案を使うよう市幹部に指示し、見返りとして21年に6000万円を受け取った疑いが持たれている。 家宅捜索は午後3時45分ごろから夜まで続き、スーツ姿の捜査員らが市議会事務局から段ボール箱を次々と運び出していた。市役所を訪れていた女性(73)は「市民の税金を食い物にして怒りしかない。捜査で不正を明らかにしてほしい」と語気を強めていた。 市庁舎建設当時に市長だった中村博生・前市長は7日、自宅前の報道陣の前に姿を見せず、家族を通じて「重く受け止めており市民に申し訳ない。事態の推移を見守り、関係機関の要請には全面的に協力する」とするコメントを出した。 八代市議会は25年12月、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置して新庁舎建設に不正がなかったかを調査していた。百条委員会では業者の選定方法で「天の声で指示があったと聞いた」などと職員が証言していた。 25年に就任した小野泰輔市長は7日に報道各社の取材に応じ、「市議の逮捕を重く受け止める。司直が動いたことは非常に大きい。捜査に協力し、真相を解明して市政を立て直す」と話した。 小野市長は職員が議員から要求を受けた際の議事録が規定に反して残されていなかった点を問題視し、「議員と職員の間の緊張関係が必要だ」と、議員からの要求を文書で記録に残すことの必要性を強調した。【金将来、中村敦茂】