【解説】能登半島地震 被災寺院からの銅板窃盗事件発生…国などによる「文化財レスキュー」300か所、のべ2500人派遣でも救いきれない現実

5月8日、石川県輪島市内の寺院から38万円相当の銅板などを盗んだとして、スリランカ国籍の男2人が、窃盗などの疑いで逮捕されていたことが明らかになりました。2024年1月1日の能登半島地震から2年4か月あまりが経っていますが、被災した後に無住となり、解体が終わっていない寺社は、珍しくないといいます。 能登半島には、もともと古い寺社が多く、非常に多くの文化財が被災。文化庁や国立文化財機構、学術団体などが、被災文化財を倒壊家屋などから搬出・修理する「文化財レスキュー」を、地震発生当初から続けてきました。2025年度までに300か所でレスキューを行い、派遣人数はのべ2500人にのぼります。 レスキューの中心的な役割を果たす「国立文化財機構 文化財防災センター」(奈良市)の高妻洋成センター長によると、レスキューの作業中に外国籍とみられる人物から「ここのモノ持っていっていいですか?」と聞かれたり、「輪島市の消防から来ました。解体について相談したい」と、明らかにウソの申し出を受けたりすることがあったということです。ボランティアを名乗ってやってきた人物がいた部屋から、仏具一式がなくなっていたこともありました。 5月8日に発表された国勢調査の速報では、5年前の調査と比べると、被災地の人口減少は深刻で、輪島市で26.56%減、珠洲市では34.04%減となっています。被災した寺社なども、関係者が避難先から時折様子を見に来る形で管理せざるを得ないところが、今も少なくないといいます。 高妻センター長は、「私たちがレスキューを行う場合は、文化財の所有者と事前に『何を預かる』『いつ実施する』など綿密に打ち合わせをし、できるだけ所有者に立ち会ってもらうようにしています。レスキューしてほしい文化財があるなどの場合は、地元自治体に相談してほしい」とした上で、「能登では、レスキューした文化財を戻そうと思っても、住民が戻って来られず、返却できないといった状況が生まれる可能性もあります。もはや文化財をどうするかという問題を超え、社会全体の課題ではないでしょうか」と話しています。

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