【死刑囚の弁護士たち】「刑が執行されたら、私の遺体を解剖してほしい」 オウム真理教元幹部の担当弁護士が訴える「絞首刑の残虐性」

内閣府の世論調査によれば、日本国民の8割以上が死刑制度を容認している。凶悪事件が起こると、ネット上では「早く死刑にしろ」などと攻撃的な声が飛び交うことも少なくない。そんななか、重大な殺人事件を担当した弁護士たちは、どのような思いで被告人と向き合い、なぜ死刑を回避すべく力を尽くしたのか――。連載企画「死刑囚の弁護士たち~なぜ“殺人犯”を守るのか~」第8回は、死刑判決からの逆転無罪となった2002年の平野母子殺害事件を担当した後藤貞人弁護士に話を聞く。死刑廃止を訴え続ける胸の内には、オウム真理教元幹部と交わした“忘れられない約束”がある。 * * * ≪2002年4月14日。大阪府大阪市平野区のマンションの一室が放火され、焼け跡から女性(当時28)とその長男(当時1)の遺体が見つかった。女性は犬の散歩用のひもで首を絞められ、長男は浴槽に沈められて溺死していた。約半年後の11月16日、女性の義父である刑務官のX元被告(当時45)が殺人容疑で逮捕された。X元被告は事件への関与を否認したが、大阪地裁は一審判決として無期懲役を言い渡した。当時の朝日新聞の報道によると、閉廷後、傍聴席に座る被害女性の実母から「うそつき」と呼びかけられたX元被告は、振り返って「俺とちゃう!」と叫んだという≫ Xさんは一貫して「やっていない」「現場のマンションにも行ったことはない」と話していました。でも、無罪の勝算は限りなくゼロに近かった。マンションの階段踊り場の灰皿から、XさんのDNA型と一致するだ液のついた吸い殻が見つかったんです。 Xさんは再婚相手の連れ子である義理の息子Yと金銭トラブルを抱えていました。さらにはYの妻、つまり本事件の被害女性に横恋慕するものの拒絶された。憎しみを募らせたXさんは、2人が暮らすマンションを探し当てて侵入し、踊り場でたばこを吸ったのち、隙を見て犯行に及んだ――これが検察の見立てでした。 でも、証拠となった吸い殻は茶色く変色していた。事件直前に捨てられたにしては、時間が経ちすぎているのではないか?と思いました。被害女性はXさんの家にあった携帯灰皿を使っていたので、事件以前に、Xさんの吸い殻と自分の吸い殻をまとめて捨てたという可能性は十分考えられます。弁護側は、「踊り場の吸い殻はXさんによる犯行を示す証拠にはならない」と反論しました。

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