日焼けし、オシャレなフレームのメガネを装着したその男は、しっかりとした足取りで、練馬警察署から出てきた──。 「小林豊容疑者(58)ら2人は5月16日、バールでドアをこじ開けるなどして、東京・練馬区のアパートの一室に侵入。部屋にいた住民の男性の頭を殴るなどの暴行を加えて、日本刀2本(20万円相当)を奪った疑いで逮捕されました。 被害者の男性と小林容疑者は知り合いで、この部屋を訪れたことがあり、日本刀があることを知っていたようです。被害者宅に押し入った際、小林容疑者は目出し帽を被って顔を隠していましたが、被害者男性が気づいたようです」(全国紙社会部記者) 日本刀の窃盗事件といえば、’18年に神奈川県茅ヶ崎市の住宅から十数振り盗まれる事件が起きている。’23年には茨城県行方市に住む男性医師宅から日本刀7振り(計2000万円相当)が入った和箪笥が盗まれている。 「窃盗犯の目的は売買だと思われますが、裏で取引されたり、譲渡されてしまったら、発見の可能性は極めて低くなる」(前出・記者) 盗まれた日本刀が30年経って故郷に戻るという事件も起きていた。 旧庄内藩主・酒井家から1986年に盗まれ、文化庁が’15年1月に所在を公表した国重要文化財の日本刀「備州長船住元重(びしゅうおさふねじゅうもとしげ)」と同じく国重文の短刀「粟田口吉光(あわたぐちよしみつ)」の盗難事件である。 窃盗犯は捕まり、吉光は1999年に致道博物館(山形・鶴岡市)が買い戻したが、元重は転売が繰り返され、長らく所在不明だった。’14年に所在が分かったが、民法の定める無償返還請求期間は盗難から2年以内。しかも1億円という値がついていたため、酒井家は買い戻しを断念。個人のコレクターが酒井家の承諾を得て買い戻し、’15年9月に致道博物館で開催された企画展で展示され、30年ぶりとなる里帰りを果たした。 ただ、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は「今回の事件は売買目的ではない」と見ている。 「日本刀を所持する際には、都道府県教育委員会が発行する登録証が必要となります。売買をする際にもこの登録証が必要となるので、盗んだ刀を正規ルートで売買することはできません。 今回の事件は、顔見知りの犯行であり、盗んだ刀もそれほど高価なものではありません。そう考えると、個人的なトラブルが関係している気がします。相手にケガを負わせた強盗容疑ですから、最低でも4年以上の実刑判決を受ける可能性が高いと思います」 小林容疑者は「強盗はしていない」と容疑を否定しているという。