ソウル、韓国、5月29日 (AP) ー 韓国当局および関係者の話によると、中国の政治活動家董広平(ドン・グアンピン)氏(68)が小型のゴムボートで中国を出国し、決死の海路で韓国領海へ逃れた後、韓国当局に拘束されていたことが明らかになった。 董氏による中国脱出の試みは、確認されているだけで今回が4度目。カナダに身を寄せる家族との再会を望み、命がけの航海に踏み切ったとみられる。 董氏は25日夜、韓国西方の海上で、長さ3.3メートルのゴムボートに乗っていたところを、出入国管理法違反の疑いで韓国海洋警察庁に拘束された。海洋警察は正式な逮捕状を請求したものの、地元裁判所は28日、「逮捕の十分な理由と必要性を認めるのは困難」として請求を却下した。董氏の身柄は今後、出入国管理事務所に引き渡され、在宅のまま捜査が続けられる見通し。 元警察官の董氏は、中国国内で人権活動家として活動し、過去に複数回拘束されている。2001年には「国家政権転覆扇動罪」で3年間服役したほか、2014年には1989年の天安門事件の犠牲者追悼集会に参加したとして、8カ月以上にわたり拘禁された経歴を持つ。 韓国メディアによると、董氏は28日の最高裁の聴問会で記者団に対し、すでにカナダに定住している妻と娘たちに再会するため、韓国を経由してカナダへ渡ることを希望していると語った。董氏は過去にタイやベトナムへ逃亡したものの、現地当局によって中国へ強制送還されたほか、台湾の離島へ泳いで渡ろうとして失敗した過去もある。 支援者であるカナダ在住の中国人活動家、盛雪(ション・シュエ)氏がSNSに投稿した内容によると、董氏は「韓国領海に達したときには意識を失いかけていた。50時間以上眠っておらず、30時間以上も潮風に晒され続けていた」と過酷な航海の様子を明かしたという。 韓国外務省の報道官は28日、本件について「国内法に則って処理される可能性が高い」と言及するにとどめ、詳細な対応は法務省の出入国管理当局に委ねる姿勢を示した。董氏が難民申請を行った場合、法務省による審査が行われるが、近年の韓国における難民認定率は2%未満と極めて低い水準にとどまっており、同氏の今後の動向は不透明だ。 (日本語翻訳・編集 アフロ)