巨人阿部前監督の問題が国会で質疑「現行犯逮捕の事案でなく行き過ぎ」鈴木宗男氏が警察庁を追及

自民党の鈴木宗男参院議員は2日に行われた参院法務委員会で質問に立った際、先月25日に起きた巨人阿部慎之助前監督の長女への暴力事件を取り上げ、警察庁の見解をただした。 宗男氏は、阿部氏を暴行の疑いで現行犯逮捕した警視庁の対応について「これは、現行犯逮捕するまでの事案ではない。ときどき警察は間違った判断をするものの最たる事案で、ちょっと行き過ぎではないか」と批判をまじえながら疑問を呈した。一方、答弁した警察庁幹部は「警視庁からは、被疑者(阿部氏)を、罪を行い終わった者と認めて、現行犯逮捕に至ったと報告を受けている」と明かした。 宗男氏は15分の持ち時間のほとんどを、阿部氏の問題に使った。阿部氏が、都内の自宅で長女に暴力をふるったとして、長女がチャットGPTに相談した上で連絡した児童相談所を通じて駆けつけた警察官に現行犯逮捕されたことを「氏名、住所、連絡先が明確で逃亡の恐れもなく、証拠隠滅の恐れが低いのに、令状なしの逮捕を判断したのはどういうことなのか」として、現行犯逮捕の基準を質問。警察庁の生活安全局長は、「現に罪を行い、または行い終わった者を現行犯人として、何人(なんびと)でも逮捕状なくして逮捕できるとされ、逮捕をするかしないかは、個別具体的な事実関係に即して法と証拠に基づき判断される」と主張した。今回については「警視庁において、(長女から)親から暴力をふるわれている旨の110番通報を受け、現場に臨場した警察官が暴行罪で現行犯逮捕した事案。警視庁からは、被疑者を厳に罪を行い終わったものと認めて現行犯逮捕に至ったと報告を受けている」と述べた。 一方、宗男氏は「現場での当事者からの話を聴いた上での判断かと思うが、(阿部氏は)それなりの社会的地位や知名度のある方で、当事者とは親子関係にある。まずは、任意同行など身体拘束を伴わないやり方での捜査の進め方もあったのではないか」と主張。これに警察庁側は「一般論」として、「事件の関係者を事情聴取のために警察署への同行を求めることがあるのはご指摘の通り」としながら、「本件において実効的であったかについては仮定の話であり、答えるのは困難」と述べるにとどめた。「警視庁からは、本件の被疑者が現に罪を行い終わったものと認めて、現行犯逮捕するに至ったと報告を受けているが、その際がどういう状況だったのか、逮捕に至る背景事情にかかること、は関係者のプライバシー保護の観点から答弁は差し控えたい」として多くを語らなかった。 宗男氏は、先月26日の阿部氏の監督辞任会見で紹介された長女の手紙の内容に触れながら「現行犯というより、任意同行で所轄に行って事情を聴くとも普通のやり方ではないか」とさらに迫ったが、警視庁幹部は「一般論として申し上げれば、人身安全関連事案は、事態が急展開する可能性があり、被害者の安全確保を最優先にしつつ、個々の事案ごとの状況を踏まえつつ、適切に対応する必要がある。警察庁としては、そのような観点から都道府県警察を指導したい」と述べ、現行犯逮捕に至った具体的な背景は「プライバシーの観点からお答えは差し控えたい」と、明言を避けた。 宗男氏は、「プライバシーの問題があると、現行犯逮捕なのか」と指摘したが、警察庁幹部の答弁は「本件について、警視庁から現場の警察官から被害者などから事情聴取を行った後で逮捕をしたと報告を受けている。警察庁としては、現在捜査中でもあり、逮捕に至る背景事情は家庭内の事柄でもあり、プライバシー保護の観点から答弁は控えたい」というものだった。 宗男氏は「プライバシー保護の観点」を理由に多くを語らない警察庁幹部に、「役人用語ではないのか、常道手段の」と声を荒らげながら問うたが、幹部は「逮捕に至る背景事情にかかわることは、被害者と関係者のプライバシー保護の観点から、答弁を差し控えたいと申し上げている。捜査機関で把握した状況、あるいは当時の状況がどうだったかは、プライバシーにかかわるものと考えている」と、応じなかった。 すると宗男氏は「プライバシーにかかわる、というなら、子どもの目の前で逮捕する方が、プライバシーの問題が大きいのではないか。プライバシーをはき違えている」と憤り、「これは、現行犯逮捕するまでの事案ではない。ときどき警察が間違った判断をするものの最たるものだ」と主張した。また「冷静に考えれば、穏やかに済んでいる話を一方的に娘さんの事情を聴いて、そこで現行犯逮捕という流れに、というふうに私は考える。ちょっと行き過ぎではないか」と、警察庁側の説明に納得せず、今後の質問の機会でもあらためて問う考えを示した。

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