かつて羽月隆太郎(26)は輝いていた。低迷を続ける広島カープにあって誰よりもまばゆい閃光を放つ若者だった。カープの未来を担うはずだった羽月は「ゾンビたばこ」によって何を失ったのか。ファンを沸かせ、チームを盛り上げ、新井監督を感激させた「神走塁」とは何だったのか。〈全2回の2回目/はじめから読む〉 2024年7月4日、マツダスタジアムでの阪神戦。カープはこの時、首位にあったが、前日まで2位阪神に2連敗、その前の巨人戦から3連敗し、2ゲーム差に迫られていた。 3-3の同点で迎えた8回、先頭の小園海斗が阪神・島本浩也から右前打で出塁すると、新井貴浩監督は羽月を代走に送った。チーム2位の7盗塁を記録している小園に代えての起用は意外にも思えたが、羽月はしっかり準備していたという。 「僕は(2連敗した)昨日、一昨日、試合に出てないし、何とかやっぱり3タテは食らいたくないと、ベンチ(新井監督)もそういう思いでいたでしょう。マツさん(松山竜平)もきょうは早かったじゃないですか。それでたぶん、僕も早いんだろうな、とは予想してたんですよ。そこで勝負手が打ててよかったです」