恩師の宿敵率い、弱者の戦術で快進撃 橋上秀樹監督代行が巨人で実践する「ノムラの考え」 鬼筆のスポ魂

橋上秀樹監督代行(60)が率いる巨人が絶好調だ。交流戦が開幕した5月26日のソフトバンク戦(東京ドーム)から指揮を執り、15試合を消化して9勝4敗2分け。阿部慎之助前監督(47)が長女への暴行容疑で現行犯逮捕されて電撃辞任。激震の中でオフェンスチーフコーチから昇格すると、チームは以前とは見違えるような戦いぶりで単独首位に立った。 ■OB以外で初の指揮 橋上監督代行は東京・安田学園高から1983年ドラフト3位でヤクルトに入団。日本ハムを経て阪神で2000年に引退するまで17年プレーした。指導者としては楽天、巨人、西武、ヤクルト、オイシックスなどでコーチ、監督などを歴任。高校の後輩にあたる阿部前監督に請われ、昨季から巨人のコーチに復帰していた。現役時代に巨人でプレー経験のない指導者がチームを率いるのは、今季で創設92年を迎えた伝統球団にとって初めてだ。 現役監督の逮捕→辞任という衝撃的な事件が起きた直後、全国の野球ファンは今季の巨人の行く末について絶望的な観測を持っただろう。ところが橋上監督代行が指揮を執り始めてからは投打のバランスがかみ合い、若手が次々に活躍。ファンは「橋上マジック」としてその手腕を絶賛し始めた。 しかし、橋上氏が監督代行に就いた直後、阪神の球団関係者はまるでその後の快進撃を予言するかのような言葉を残した。「逆にこれが巨人には幸いするかもよ…」-。まるで中国の故事にある「人間万事塞翁が馬」のような話だが、ではなぜ橋上巨人の〝逆襲〟を予感したのか。橋上監督代行がヤクルトの選手時代や楽天でヘッドコーチを務めていた頃、名将・野村克也さんに薫陶を受けていたことと無関係ではない。 ■守りを軸に機動力も 1999年、阪神監督に就任した野村さんは自身の野球観をチームに浸透させるため、159ページに及ぶ教書「ノムラの考え」を選手やコーチ陣に配布。南海、ヤクルト、楽天監督時代も同様に選手教育に心血を注いだが、橋上監督代行はそれを今の時代にカスタマイズしながら実践しているのだろう。 南海、ヤクルト、阪神、楽天で通算24シーズン監督を務めた野村さんは、5度のリーグ優勝を果たし、日本一に3度輝いた。その野球は「弱者の戦術」といえる。

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