韓国の聯合ニュースによると、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣言したことをめぐり、内乱を首謀した疑いで大統領の拘束令状をとった合同捜査本部の捜査官たちが3日朝、ソウル市内にある大統領公邸の敷地に入り、公邸玄関で拘束令状を執行しようとしている。 公邸の周辺には尹大統領の支持者や報道陣が大勢集まっている。大統領の支持者たちは、尹氏の名前を連呼し、支持を表明している。警官隊は、公邸に向かう歩道に警察車両を並べるなどして、群衆を統制しようとしている。 尹氏の弁護士は、拘束令状に執行差し止めを請求する方針だと声明で述べた。 大統領の弁護団は昨年12月30日、非常戒厳の宣布は、憲法が定める大統領権限の範囲内だとし、捜査当局には尹氏を逮捕する権限はないと述べている。 尹大統領について、警察や政府高官などの捜査を担う「高位公職者犯罪捜査処」の合同捜査本部は12月29日、内乱を首謀した疑いで大統領の拘束令状を請求し、ソウルの地裁は同31日に令状を発付した。韓国の現職大統領に拘束令状が発付されるのは、憲政史上初めて。 尹大統領は12月3日夜に「非常戒厳を宣布する」と発表したものの、与野党議員がこれに反発したため、翌朝には非常戒厳を解除。14日に弾劾され、職務停止となっている。 尹氏はその後、内乱と反逆の疑いで捜査されているものの、これまで捜査当局による再三の出頭要請に応じていない。 尹氏は同12日のテレビ演説で、非常戒厳を宣布したことの正当性を訴えた。民主主義の「崩壊を防ぎ」、野党による「国会の独裁」に対抗するための合法的な判断だったと主張し、「弾劾されようが、捜査されようが、私は断固として対抗する」、「最後まで闘う」とした。一方で、「法的および政治的な責任」を回避するつもりはないと述べた。 尹氏の弁護人、尹甲根(ユン・ガプグン)弁護士は、大統領が3度の出頭要請に応じなかったのは「正当な懸念」があるからだと述べていた。大統領は出国禁止となっている。 (英語記事 High drama in Seoul as investigators try to arrest South Korea's president)