7人組グループ・WEST.の重岡大毅が3日、アジア最大級のジャンル映画の祭典「第30回プチョン国際ファンタスティック映画祭」でワールドプレミア上映された主演映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』(9月11日公開)舞台あいさつに参加した。 同作品は、人間の選択とテクノロジーが交錯する完全犯罪サスペンス。物語は、兄の航(重岡)のもとに、高校生の妹・幸来(原菜乃華)の「お兄ちゃん…どうしよう」と助けを求める電話から始まる。意図せず美術部・顧問の教師を殺してしまったという妹を守るため、「この事件を迷宮入りにする」と航が行き着いたのは、生成AIに「完全犯罪を成立させる方法を教えてください」とプロンプトを打ち込むというものだった。 メインシアターとなる富川市庁舎ホールで行われた上映後のトークイベントでは重岡と近藤亮太監督が登壇。チケットは即完売、現地での人気と注目の高さがうかがえ、満席の会場から大歓声と温かい拍手で迎えられた。今回、本作が完成して世界初のお披露目の場となり、会場には韓国の映画ファンから、重岡やWEST.のファンも詰めかけ、上映前から大変な熱気に包まれていた。 上映中は、緊迫したストーリー展開に空気が張り詰め、会場中が物語に惹き込まれている様子で、本編に続いてエンドロールが終わり、場内が明るくなると、盛大な拍手が沸き起こった。感無量の面持ちで、重岡と近藤監督がステージに登場。会場前方を埋め尽くした手作りうちわを振る熱心なファンや、ジャンル映画ファンからの歓声が上がるなか、初めて海外の国際映画祭に参加した重岡は喜びを隠しきれずに満面の笑みで手を振り、鳴り止まない拍手に応えた。 重岡は韓国語で「こんにちは!私は重岡大毅です。韓国に来られてうれしいです」とあいさつ。その後のトークセッションでは、生成AIによる完全犯罪をテーマにするストーリーのアイデアについて、映画祭MCから近藤監督へ質問。近藤監督は、脚本がある程度出来上がった段階でオファーを受けたことを明かし、「生成AIを使って完全犯罪を行う部分と、積極的に犯罪行為を行うのではなく、目の前にある問題をクリアするために生成AIが深く関わる部分にとても描きがいがあると考えました」と振り返った。 さらに、本作がホラー映画で長編映画監督デビューを経たことについて、「目に見えない生成AIの怖さを自分の得意な表現としても活用できるなら、この映画のためにできることがあると思いました」と思いを明かした。 続いて、脚本を読んだときの第一印象と役作りについて聞かれた重岡は、「生成AIに興味を持って脚本を読み始めたのですが、物語のクライマックスが個人的にすごく好きな展開だったんです。とてもおもしろい脚本だと思いました。僕が演じた主人公の航は、何の変哲もないふつうの人生を歩んできたのに、ある日突然、事件に巻き込まれます。もし自分だったら、そんな事態に直面したら、主人公のようには行動しないかもしれない。でも彼は生成AIに聞いて、その答えと自身が考えた答えがまったく違っていた。だから、その乖離を埋めながら、決断をしていかないといけない。それを表現するのが難しかったです」と回答。 また質問コーナーでは、多くの観客が手を上げ、映画制作の舞台裏や、物語で描かれる生成AIに関する質問も寄せられた。日常での生成AIの活用方法を聞かれた重岡は「日常的に使っていて、朝食はどうしようとか、トレーニングのデータからメニューを組ませたりしています。本作では、主人公が逮捕された場合の裁判のシミュレーションを生成AIで行うシーンがありましたが、実際にAIを使った場合にどのような形で状況が変化するのかを自分でも調べてみました」と明かした。 近藤監督は「僕もよく使っています。映画作りのなかでも、浮かんだアイデアへの意見やこういうシーンではどんなアイデアがあるか?などを聞いてみたりしています。ただ、今のところ、AIからそのまま使える答えが出ることは99%ありません。自分の頭を整理する上での話し合いとして使っています」と自身の考えを述べた。 印象に残っているシーンを聞かれた重岡は「電車に向かって叫ぶシーンです。妹の前ではしっかりしないといけないから、1人になったときに、心の中に溜まっていたものをすべて吐き出す“叫び”でした。主人公がギリギリの精神状態に追い込まれたシーンです」と回答。また、富川への訪問を歓迎し、滞在を楽しんでいるかといった質問に重岡は、滞在中のホテルの近くで焼肉を食べたエピソードを話し、会場全体がほっこりする場面も。 最後に重岡は「“生成AIとの向き合い方”は今の人類の課題だと僕は思っています。そういった意味でも、この映画はまさにAIとの向き合い方について考えさせられる作品なので、改めて参加してよかったなと思いました。そして、この映画に参加できたからこそ、こうしてプチョンという場所にも来ることができました。僕自身初めての韓国で、プチョンもこのファンタスティック映画祭で初めて訪れた思い出の場所になりました。生成AIはいろいろなことを教えてくれるかもしれませんが、こうして生成AIでは作れない思い出も、これからたくさん増えていけばいいなと思っています。本当に今日は来ることができてよかったです。ありがとうございました。また来たいなと思っています」と熱いメッセージを送った。 日本映画ファンが多い韓国の若い世代の間では、『溺れるナイフ』や『宇宙を駆けるよだか』などいくつもの出演作が劇場公開、配信されているため、重岡は演技力の高さや実力が認められている演技派若手人気俳優のひとり。この日のトークでも、重岡の芝居への質問などが時間いっぱいまで途切れることなく続いた。 今作はプチョン国際ファンタスティック映画祭のなかでもエッジの効いた作品が集う「B Extreme部門」に選出されており、映画祭最終日の12日にも公式上映される。