俳優の水谷豊が12日、東京・K's cinemaで行われた映画『Piccola felicita(ピッコラ・フェリチタ)~小さな幸せ~』初日舞台あいさつに登壇した。水谷は企画・監督・脚本・プロデュース・主演を務めた本作について、「劇場で公開されるかも分からない状況だった」と振り返り、無事に初日を迎えた喜びを語った。 全国各地での上映会を経て、この日から劇場公開がスタート。満席となった会場では大きな拍手と「豊さん!」という歓声が飛び交い、水谷はおなじみの「サンキュ!」で応えた。 水谷は「この映画は僕の企画、監督、脚本、プロデュース、主演と肩書きが並んでいますが、決して欲張ったわけではありません。自主制作なので、僕がやらざるを得なかったんです」と説明。「急きょ決まった企画で、短期間で撮り上げなければならない作品でした。しかも劇場公開されるかどうかも分からなかったので、こうして初日を迎えられて本当にうれしく思います」と感慨深げに語った。 出演オファーを受けたキャスト側からは「これは映画ですか? 配信ですか?」と戸惑いの声もあったという。それでも水谷は「ただ撮ります」と宣言。その言葉に賛同したキャストが集まり、「本当によく参加してくださいました。感謝しています」と頭を下げた。 自身の出演については、「珍しく犯人を逮捕しない、普通のおじさんの役」と明かし、「僕は出る予定じゃなかったんです」と意外な裏話も披露。「キャスティングが最後まで決まらず予算表を見た時に、『毎日現場にいて、そこそこ芝居ができるやつが一人いるじゃないか』と思って(笑)。もっと予算があれば別の俳優さんがやっていたと思います」と会場を笑わせた。 水谷は「映画のタイトルは『ピッコラ・フェリチタ』(イタリア語で“小さな幸せ”の意味)ですが、大きな幸せを感じています」と笑顔。最後は「この世界に入って60年ほど経ちますが、皆さんと過ごすこの時間は何ものにも代えがたい。本当にありがとうございました」と感謝を伝えると、会場からは大きな拍手と歓声が送られた。 舞台あいさつには、水谷監督のほかに、キャストの菜葉菜、河相我聞、趣里、橋本淳が登壇した。 ■ストーリー 60代、40代、30代の予測不能な男女3組の物語が交錯する。 佐藤は25年間働いたレストランを定年退職する。8年前に離婚し、娘にも会えず独りきりの生活を続けていた彼は、人生はもう終わったと思っていた――だが、小さな奇跡が思いがけない喜びをもたらす。 画家の父の影に苦しむ富士夫は、酒と女に溺れる日々。油絵教室を営みながらも自信を持てず、妻のミキとは別居中。離婚は避けられないと思われたが、富士夫の最後の告白がすべてを変えていく。 ホテル「ピッコラ・フェリチタ」で働く礼央は、カフェで出会った葵に一目惚れ。ふたりはすぐに恋に落ちる――葵を家まで送った礼央は、彼女の秘密を知ってしまい……愛は崩れ去ろうとしていた。 しかし最後には、登場人物たちが心をひとつにし、傷ついた心を希望へと変える奇跡が訪れる。