政治資金改革の議論が停滞している。 企業・団体献金の存廃を巡り、先の特別国会で与野党が衆院に提出した政治資金関連3法案は継続審議となった。 中道改革連合と国民民主党は企業・団体献金を都道府県単位の組織に限定する案を共同で提出。参政党とチームみらいは全面禁止など野党は規制強化を主張した。 一方、自民党と日本維新の会の与党は存続を前提として政党収入の在り方を議論する有識者組織を国会に設置する内容だった。与野党の論戦は平行線で採決に至らなかった。 忘れてならないのは、発端は旧安倍派議員が逮捕されるなどした自民の派閥裏金事件だ。維新も当初は廃止を主張していた。与党の責任はとりわけ重い。 政治資金の透明性を確保する第三者機関「政治資金監視委員会」の制度設計を巡る議論も止まっている。 設置のためのプログラム法は2024年12月に成立。制度設計に向けた与野党の協議が昨年3月に始まったものの、今年2月の衆院選で自民が圧勝してからはストップしている。 国会議員関係政治団体の収支報告書を監視するための独自調査や、虚偽記載があれば総務省に立ち入り検査を要請することなどが柱だ。 しかし、与党側が政治活動の自由など憲法上の課題を主張し、特別国会での議論が進まなかった。 第三者機関の設置は改革の柱の一つだ。それさえ前に進まないのでは、本音では改革を阻止したいのではないかとの疑念も湧く。 ■ ■ 政治資金の透明化を巡っては、政治資金収支報告書のデータベースが28年に本格始動する。国民による監視をしやすくする目的があり第三者機関の設置と両輪で行うことが求められる。 改革について高市早苗首相は「各党各会派で丁寧に議論すべきだ」と言うが、本来は自ら率先して旗を振るべき立場だろう。 国旗損壊罪や皇室典範改正など「国論を二分」する法案の成立を急いだのに対し、政治資金改革の実現に汗をかく様子は見られなかった。 首相は先の国会の積み残しとして、秋に見込まれる臨時国会で維新と連立合意した衆院定数削減法案の実現に意欲を示す。 だが、改革議論が本格化したのは24年からだ。一部改正法が成立したが、企業献金に関しては持ち越されてきた。優先順位が違う。 ■ ■ 「政治とカネ」の問題は根深い。裏金事件では現職国会議員の逮捕者も。6月には政治資金規正法違反の罪に問われた元参院議員の被告に一審で有罪判決も出ている。 地方議会でも福岡県で県職員の親睦会や部課長会が、県議会正副議長の就任を祝う政治資金パーティー券を一括購入していた問題が指摘されている。 政治を舞台に不適切な金銭授受がはびこってはいまいか。国会とともに地方議会も政治改革に着手すべきだ。