ドラフト1位のプロ野球選手から、IT企業を経て、テレビ局の広告営業に――。そんな異例の転身を遂げたのが、いまから17年前に楽天に入団した寺田龍平だ。甲子園とは縁のない北海道No.1の超進学校からプロの世界へと進むことになった“ナゾのドラ1”。その波乱万丈な野球人生を聞いた。《NumberWebインタビュー全3回の3回目/最初から読む》 寺田龍平は楽天のドラフト1巡目で指名された自分を「ネタ」と言い表した。 ただ、それは本心ではなく「進学校のエース」「ナゾのドラ1」といった、ドラフト指名直後に話題とされていた自分をへりくだって表現しているだけである。 「現役時代はそこをネタにできないですからね。悔しい想いとか後ろめたさを抱えながらやっていた部分もあったんで。まあでも、辞めてからはドラフト1位の重みはそんなに感じなくはなりましたけど」 2011年に戦力外を受け、寺田はたった4年でプロ野球生活に見切りをつけた。 その「元ドラ1」がインターネット上で再びネタとされたのは、引退した翌年となる12年のことだった。 <前から知ってたけど、ついに捕まったか。ほんと、人間のクズだな> 元プロ野球選手が逮捕されたニュースがきっかけとなり、寺田が思いのままツイッター(X)で呟いたわけだが、いかんせんその文面が過激すぎるあまり、ネット掲示板で瞬く間に拡散されてしまったのである。 「現役時代にその選手が『素行が悪い』って噂を聞いていたんで。実際に捕まって本当にヤバかったんだと思って、つい……」