トランプ政権、ICC「解体」本格化 「米国第一」対「国際秩序」 中間選挙前に求心力回復狙う

【ワシントン時事】トランプ米政権が国際刑事裁判所(ICC)の「解体」に本格的に乗り出した。 18日には赤根智子所長を制裁対象に指定。対イラン交渉のこう着など外交が停滞する中、「米国第一」対「(主権を脅かす)国際秩序」という政治的レトリックを持ち出し、11月の中間選挙前に求心力を回復させる狙いがあるようだ。 国務省は19日、時事通信の取材に対し、赤根氏への制裁は日本政府を対象にしたものではないと強調した上で、同盟国に「米国の主権に対する脅威となっているICC支援を打ち切ることを期待している」とコメントした。米国はICCに加盟していないが、日本は最大の資金拠出国だ。 ルビオ国務長官が反ICCキャンペーンをあからさまにしたのは7月。加盟国に脱退を呼び掛けるとともに、ICC当局者らに対する制裁強化の方針も発表。これを受けて、南米ベネズエラとアフリカ北部チャドが脱退を表明している。 ルビオ氏は米紙への寄稿で、ICC攻撃の理由について、米国がカリブ海などで行っている「麻薬密輸船」への攻撃をICCの元主任検察官が「人道に対する罪」に相当すると断罪したことを挙げている。米市民が訴追対象になることへの危機感を訴えた。 ただ、シンクタンク外交問題評議会(CFR)のジョン・ベリンジャー非常勤上級研究員はウェブサイトで、「現職のICC当局者は、米国人を訴追する権限を主張していない」として、ルビオ氏の言い分に正当性がないと指摘。また、「国際機関から米国の主権を守る」という構図は、11月の中間選挙を前にトランプ大統領の支持者に向けたメッセージと見る向きもある。 トランプ政権が2月に始めた対イラン軍事作戦は油価や肥料の高騰を招き、支持率低下という返り血になっている。 トランプ氏は昨年2月、ICC当局者への経済制裁などを可能にする大統領令に署名した。パレスチナ自治区ガザでの戦争犯罪の疑いでICCがイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことへの対抗措置も理由の一つで、親イスラエルの自身の支持基盤への配慮が透けてみえる。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加