少子化問題が深刻化する陰で、「赤ちゃんポスト」利用者が増加傾向にあるなど、「望まない妊娠」に泣く女性は後を絶たない。 「望まない妊娠をし、1人で出産して児を遺棄するなどして逮捕される事件は未だになくなることがありません。また、令和6年度の人工妊娠中絶件数は12万7992件にも上ったそうです。 打ち明けられる相手がおらず、途方に暮れて取り返しのつかないこととなる前に、お住まいの自治体の妊娠に関する相談窓口などで行政保健師等に相談することをおすすめします」 こう話すのは助産師の土岐美葉氏。たとえば東京であれば「妊娠相談ホットライン」、大阪なら「にんしんSOS」など、予期せぬ妊娠等に関する相談窓口を設置している自治体は多いという。 「秘密は守られますので、安心して相談してみてください」 と土岐氏。妊娠に気づいたあとに「未受診」でいることのリスクを聞いた。 「未受診の妊婦さんの場合、妊娠週数が不確かになってしまうことはもちろん、感染症の把握ができていない状態で突然受診や搬送されることには大きなリスクが伴うものです。 医療現場が混乱するだけでなく、胎児や医療者への感染リスクにも強い警戒が必要となります。 また、通常であれば10か月かけて行なう、赤ちゃんを迎え入れて養育するための準備を大幅に短縮しなければならないことも大変ですし、その中にさまざまな細かい問題をはらみます」 今回取材に応じたのは、望まない妊娠から出産に至った経験のある現在30代の女性・Kさん。妊娠したのは21歳になる目前だったという。 「うちの両親は私が高校生の時に離婚しました。父に若い彼女ができたためです。父のことがショックでお酒に走るようになった母は、飲み屋さんで知り合った男性たちと交際するようになり、その辺りから人が変わったようにイヤな女になってしまいました」 品のある専業主婦だった母は、身なりが派手になり、夜の街で遊ぶようになったという。 「うちの母に限ってそんなことがあるわけない、そのうち元に戻る、と信じましたが全然で、常に酔っ払っているような感じ。もともとお酒を飲むところなど見たことがなかったのですが、酔って私に暴言を吐くのが日常になりました」 親の離婚後も生活が困窮するようなことはなかったが、母は大学生だったKさんに一銭の小遣いも渡さなくなったそうで… 「私だけが困窮してバイトを始めたのですが、バイト先の先輩と恋愛関係になり妊娠したのです。結婚しよう、そんな毒親は捨てろよと言ってくれて…ですが、妊娠したことを告げると、バイトをやめ、いつのまにかアパートを引き払っていました。音信不通になったんです」 父親である男性の件は、後に弁護士が介入し一定の解決を見たそうだが、当時は物心ともに追い詰められ、妊娠のことを誰にも相談できず、どんどん大きくなるお腹に恐怖しながら、それを隠すのに必死だったというKさん。 「赤ちゃんポストが設置されている中で最も近い病院までは、約380kmもありました。ニュースで何度も聞いたことがあるので、どこにでもあるのかと思っていました」と述べ、利用を断念したことも明かした。結局、臨月になって母親に気づかれ「妊娠しちゃってごめんなさい」と謝罪。その後、初めて受診したという。 「看護師さんやお医者さんは私を責めることはなかったですが、わからないことだらけなので、とても困らせたと思います。でも、母の様子を聞いて心配されたのか、保健師さんがいつも来てくれるようになり、色々話せるようになりました」 出産当日は、立ち会った母親が「ギャーギャーわめかないで。いいから早く出しちゃいなさい」「さすがはあの男の子だ、やることだけは早くて不誠実」などと娘を罵り、現場は慌ただしさと緊張感で「ありえない雰囲気」になったそうだ。しかもその後、Kさんはさらなる地獄を見たという。 【関連記事】「ねえ!それ、私の元カレとの子でしょ!」アル中となった毒母の暴走に泣いた女子大生ママの地獄と現在の姿とは ※本記事で使用している写真はイメージです 【聞き手・文・編集】小澤みどり PHOTO:Getty Images【解説】土岐美葉:助産師・母子のための相談室運営【出典】厚生労働省:令和6年度 衛生行政報告例の概況