トランプ米政権が制裁対象に指定した国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が26日、日本記者クラブ主催のオンライン記者会見に臨み「制裁を受ける理由は全くない」と強調した。その上で、ICCに圧力を強める米国の動きをICC加盟国の「正念場」だとし、日本政府に支援を求めた。 ICC本部があるオランダ・ハーグから会見に臨んだ赤根氏は、自身に対する制裁について、既にクレジットカードが使えないなどの不利益が生じていることを明らかにした。ICC自体への制裁の可能性に話が及ぶと、「ICCは決して負けない。正義は常にこれと対極にあるものに優越するという信念を貫く」とし、今後も通常通り裁判業務を続ける決意を語った。 赤根氏に対する制裁について高市早苗首相らが25日、「日本の立場と相いれるものではなく、大変深刻に受け止めている」と発言したことには、「心から感謝している」と話した。さらに「日本は法の支配を外交関係の柱に据えてきた国で、世界の日本に対する期待は大きい」と強調。日本が米国の同盟国としてICCの重要性やその正当性について米側に説明し、対話を続けることが、米国のエスカレートした行為を防ぐことにつながるとの考えを示した。 トランプ政権はICCの弱体化や解体に向けて圧力を強めており、赤根氏を含むICC裁判官18人中、9人が制裁対象となっている。さらに米国はICC加盟国に脱退を求めており、今年に入り、ベネズエラやチャドが脱退の意向を表明している。赤根氏はICCは加盟国に支えられているとし、米国の呼びかけに応じてICCを脱退しないよう働きかけることを日本政府に求めた。【石山絵歩】 ◇赤根智子(あかね・ともこ)氏 東大法学部卒。1982年、検事任官。横浜、名古屋地検、国連アジア極東犯罪防止研修所所長、法務省法務総合研究所所長などを経て2018年に国際刑事裁判所(ICC)判事に。ロシアのプーチン大統領に戦争犯罪で逮捕状を出した報復措置として、23年にロシアに指名手配された。24年からICC所長。26年8月、ICCを批判するトランプ米政権に制裁対象とされた。