猛毒魚フグに痺れて10年 フグ映画の原点は『機動戦士ガンダム』と『シン・ゴジラ』 ナレーション斎藤工の声に震えた宇野航監督「出会った一人一人がドキュメンタリーの主人公」

フグ映画のインスパイア元は『機動戦士ガンダム』『シン・ゴジラ』!? 猛毒魚フグの面白味に痺れて10年。ドキュメンタリー映画『GUN FISH あなたの知らないフグの世界』が9月4日より劇場公開される。 ■ユーモアとパッション 死に至らしめる猛毒を持つことから輸入を禁止する国がある一方で、日本では“どう食べるのか”が追求されてきたフグ。 監督を務めた宇野航は10年にわたる月日をかけて、この魚に魅了された人々を追い、日本人の飽くなき探求心を炙り出した。ちなみに宇野監督も本作を完成されるために脱サラした“フグに魅了された人”である。 文献を読み漁り、古今東西のフグ専門家たちの元を訪ね歩き、じっくり話を聞いた。取材の過程で大阪府ふぐ取扱登録者の資格を取得したのだから本気だ。 「本編にも登場するフグ博士こと北濱喜一さんから『あんたなあ、これを知らなかったらモグリでっせえ』と言われた事にも8割程度は打ち返すことができた。そこから『ほお、偉いでんなあ』と北濱さんは僕を信頼してくれて。よりディープなお話を聞くことができました。日本の映像作家で僕よりもフグに詳しい人はいないと断言できるでしょう」 フグの免許試験に挑む若き料理人の熱き奮闘に密着する一方、猛毒部位である肝を数万食提供して逮捕された料理人にも会い、合法的な肝食解禁を目指す人々の主張にも耳を傾けた。食品衛生法で禁止されているはずの肝を提供する店にも潜入した。 アカデミックでありながら、ユーモアの塩梅も絶妙。それによってフグに関わる人々のパッションが一層強調される、独自の味わいある見事なドキュメンタリーだ。 「フグを介して出会った一人一人がドキュメンタリーの主人公になれるような人物ばかり。思想や意見の違いはあれども、全員がフグの事を真剣に考えているチャレンジャー。その熱意が本当に面白かった。あと、撮影した素材の取捨選択で大切にしたのはユーモアです。切り取り方によっては御本人が嫌な思いをするかもしれない。でもそれに気を使ってばかりいたら作る意味がない。そこは誠意をもって対応して、とにかく面白いものだけを並べて構成しました」 ■ナレーションは斎藤工 足掛け10年に及ぶ映像素材は膨大だ。素材を活かすも殺すも料理人の腕次第。編集も自らの手で行った宇野監督が参考にしたのは『機動戦士ガンダム』『シン・ゴジラ』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』など。 「音楽や編集のテンポの面で『シン・ゴジラ』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』からは観客の感情をあおるような手法を参考にしました。『機動戦士ガンダム』からはナレーションの重要性と固有名詞を活かすことによって広がる作品世界の奥行きを学びました。一聴しただけではわからないような専門用語であっても細かく説明することなく提示して、映されている物以上の深いものがその裏にある事を感じさせたかった」 ナレーションを担当したのは俳優の斎藤工。奇しくも『シン・ゴジラ』出演者だ。 「低音ボイスが素敵、というのが一番の理由です。編集の段階から低音ボイスの男性に務めて頂きたいと思っていました。アフレコ収録の段階で最高過ぎて、本作を一つ上のステージに上げてくださった。劇中にある決めセリフも最高の声で、それを聞いた瞬間に思わず『カ、カッコいい…!』と震えました」 10年越しの念願、劇場公開が迫る。 「この映画を観たら、絶対にフグトリビアを周りの人に言いたくなるはずです!」 にわかフグ博士の出没を大いに歓迎している。 (まいどなニュース特約・石井 隼人)

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