不穏なサスペンスが繰り広げられたかと思えば、甘酸っぱいラブストーリーさながらの雰囲気が場を包む。物語に漂う空気を一変させながら視聴者を翻弄してきたドラマ『告白-25年目の秘密-』(日本テレビ系)がいよいよ最終回を迎える。 爽太(松村北斗)が麻里子(岡崎紗絵)に片思いをしていた25年間。ずっと爽太が胸に秘めていた“秘密”が麻里子に知れ渡った第8話を経て、第9話では麻里子の父親・銀次郎(石黒賢)が畑野(田中要次)との因縁を告白し、爽太の親友である友也(塩野瑛久)が胸に秘めていた“秘密”も明らかになる。 25年前に畑野が起こした連続誘拐事件の被害者として亡くなった少女は友也の姉だった。爽太に襲いかかった畑野を殴りつける友也の形相は、彼が長い月日のなかで蓋をしていた怒りと憎しみが、どれほど激しいものだったかを物語っていた。 胸に秘めていた好意を伝えること。隠していた事実や自身の過ちを正直に話すこと。本作ではさまざまな“秘密の告白”がなされてきたが、友也の告白は「本心を打ち明けること」だったように思う。 そして、ずっと心の奥底に留めていた悲痛な思いを吐露した相手は爽太だった。友也の告白を真正面から受け止めた爽太は、彼が忘れようとしていた悲しみや苦しみにただ寄り添う。物語が始まった直後は、大学が同じとはいえあまり性格も似ておらず、共通点もそこまでなかったため、正直仲が良いのが不思議なくらいだった。しかし、2人とも麻里子に特別な感情を持っていたことで運命的に出会い、ともに過ごすうちに自然と友情を育んでいた。「なんで友也が苦しまないといけないんだ」と涙を流す爽太と「まぁ俺ぐらいだけどな。お前と一緒にいられるの」とこぼす友也。2人が本心をありのままに打ち明けて、それでも今まで通りに肩を組んで話せる関係性でいられることが嬉しくなるワンシーンだった。 銀次郎と友也が25年もの間、ひた隠しにしていた秘密が次々と明らかになるなか、最後に残ったのは立岩(丸山智己)とサユリ(水野美紀)を殺した犯人であり、爽太と同様に歪な愛情を隠し続けていた捜査一課刑事の佐倉(玉山鉄二)が抱える秘密だ。 25年前に麻里子の実母・恭子がよく訪れていた花屋で働いていた18歳の佐倉。しかし、ずっと好意を寄せていた彼女に誘拐犯だと疑われたことで取り乱し、恭子を橋から突き落として殺してしまう。母親と瓜二つの麻里子にかつて愛した人の残像を見る今の佐倉は、爽太の「人って何か心を支えるものがないと生きていけないじゃないですか」という言葉が代弁するように、歪んだ愛情を信じたい一心で生きる存在だった。 実際、爽太も佐倉も麻里子を守りたいという思いは変わらないはずなのに、2人の現状には大きな差がある。思い出すのは、爽太と麻里子の祖母・昭子(丘みつ子)の会話だ。野瀬化粧品のオフィスで麻里子に声をかけられなかった理由を問われたとき、見ているだけで幸せだったと答える爽太に対して、昭子は「正直じゃないね。うまくいかないってことはいつだって自分の中に原因がある。相手の中に答えを探しちゃいけないと思うよ」と反論する。あのときは爽太に向けられた言葉だったが、必然的に佐倉にも当てはまる。 その後、爽太が丸一日かけて、長年の好意も25年にもわたる行いも麻里子に洗いざらい告白した一方で、佐倉はずっと自身の犯した罪と責任から逃れようとしていた。逮捕された畑野には「目障りなんだよお前が。お前さえいなければ」と声を荒げ、殺人を犯した自身の行為から目を背けて他責する。サユリの葬式が執り行われた葬儀場で、爽太にかけた「彼女を愛さなければ犯罪者にならなくて済んだのに」というセリフは、まるで自分自身に突き立てているような言葉でもあった。 物語にちりばめられた謎や伏線はもちろん巧みな構成も光る。第1話の冒頭で一瞬だけ映し出された血まみれのナイフを持って狂気的な表情を浮かべる爽太は、誘拐された麻里子のピンチに颯爽と駆けつけ、畑野に立ち向かう覚悟を決めたときの姿だった。主人公である爽太に関するミスリードを最終話まで引っ張らず、道を踏み外してしまった側である佐倉の“告白”をラストに持ってくる。側から見れば純愛とも狂気ともとれる爽太と佐倉それぞれの片思いを鏡写しのように見せる終盤の展開も見事だった。 だからこそ、最終話で爽太が佐倉の中に何を見るのかは見どころのひとつだろう。爽太も歪んだ愛情を拗らせて、どこかで道を外していたら、佐倉のように取り返しのつかない過ちを犯してしまったかもしれない。佐倉が25年間抱え続けていた恭子への思い、「すべての秘密の扉が開いた。だけど僕はもう麻里子さんを守ることはできなかった」という爽太の真意、そして、麻里子との恋の行方も含めて、最終話を心して見届けたい。