「闇バイトで9年」最高日給75万円…逮捕され会社もクビになった元「出し子」が語る転落後の現在地

「最初の入金は100万円くらいでしたが、信用を得ることでだんだん額が上がっていく。騙される人が多いのか正月が忙しくて、三が日は毎日1000万円以上下ろしていましたね。週5〜6日は″バイト″があって、平均日給は20万円くらい。 受け取った報酬を握りしめて歌舞伎町のキャバクラに直行。使っても使っても、カネが余っていました。友人と飲んだら毎回、僕のオゴり。会社の給料じゃ、あんな暮らしはできないのを皆わかっているのに、誰にもツッコまれませんでした」 だが、そんな生活が永遠に続くはずもなく――2年ほど前から、桐山氏の携帯に知らない番号から電話がかかってくるようになった。 「見たことない市外局番ばかりで、検索したらすべて地方の警察。″バイト″用の口座がどんどん凍結されていって、自分用のメイン口座を使わざるを得ない状況になりました」 「来るべきときが来たな」と覚悟を決めた1週間後、山形県警の捜査員が桐山氏の自宅を訪ねてきた。最寄りの警察署で事情聴取を受けることになった。 「怒られはしないんです。聞かれたのは二つだけ。『罪の認識はあるか』と『″上の人間″が誰かわかるか』。僕はおカネを下ろして渡すだけで何のおカネかわからないから罪の認識はない。″上の人″とはテレグラムで連絡しているだけだから、誰かわからない。そう伝えました」 捜査官は「また連絡する。もう犯罪はやめなさい」と言って桐山氏を自宅へ帰した。その後、捜査員から何回か着信があったが無視して自宅を出た。 「捕まりたくないから、最低限の荷物を持ち出して、ホテルから出勤していました。そしたらついに職場にも警察から『桐山は明日出勤か?』と電話が来て……会社に長期休暇をもらって逃げました」 ホテルや漫画喫茶を転々とし、朝から酒を飲んで過ごした。″上の人″に事情聴取を受けたことを伝えても″バイト″は続行。金銭的に困ることはなかったという。 だが、それから2ヵ月が経ったころ、連泊していた八王子のホテルで桐山氏は逮捕された。被害届が出されていた山形県警に連行され、留置場に入った。 「僕が現金を引き出す防犯カメラの映像を見せられたんですが、彼女と二人でおカネを引き出していて、変装もしていなかったことで、″何のカネか知らなかった″ということは信じてもらえました」 2週間ほどで釈放されたが、会社は当然クビ。″バイト″関係の人たちの連絡先も携帯から綺麗に消えていた。 「自分の本名でググると″詐欺師″と出てくる。デジタルタトゥーってやつですね」 桐山氏は現在、偽名を使って知り合いの小さな工場で働いているが、「週7で働いても月給20万円です」という。 「僕の口座関連の被害者は数百人……もしかしたら数千人いるかもしれない。いつまた訴えられて勾留されるかわからない。詐欺は時効まで7年かかるって聞きました。あと5〜6年はこの暮らしを続けるしかないです」 闇バイトに関わったことに後悔はないか。そう問うと桐山氏は即答した。 「1ミリもない。口座が作れるようになったら、またあの生活に戻りたい」 闇バイトの恐ろしさは、罪の意識のなさと強力な中毒性にあるのかもしれない。 取材・文:山田 潤

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