水戸ストーカー殺人 被告に拘禁21年求刑 検察側「身勝手で理不尽」 水戸地裁 茨城

茨城県水戸市のアパートで2025年12月、元交際相手でネイリストの住人女性を殺害したとして、殺人とストーカー規制法違反の罪に問われた同県城里町小坂、会社員、大内拓実被告(29)の裁判員裁判論告求刑公判が24日、水戸地裁(有賀貞博裁判長)で開かれ、検察側は「身勝手で理不尽極まりない動機に酌量の余地は一切ない」として拘禁刑21年を求刑した。弁護側は適切な量刑判断を求めた。判決は30日の予定。 論告で、検察側は被害者の小松本遥さん=当時(31)=が仕事を優先するため、大内被告に別れを告げたのは「一般的な理由で何ら落ち度はない」と主張。大内被告の「殺害してこの世から消せれば出会う前に戻って人生をリセットできる」という犯行動機を批判した。 大内被告が事件前、自身の心理状態の異常さに気付き、精神科病院を受診しようとした点は「治療に結び付かなかったのは、(大内)被告の都合で面談を受けず、臨床心理士らの助言に従わなかった結果で、斟酌(しんしゃく)すべき事情にならない」と指摘した。 ハンマーで頭などを殴って包丁で首を刺し、主な傷だけで48カ所に及んだ犯行を「残虐で強固な殺意に基づく」と主張。紛失防止タグで居場所を特定し、犯行前日に凶器を買っていたことから「計画性が高く、被害者を探す方法も執拗(しつよう)」と非難した。 新婚の小松本さんは当時妊娠中で、念願のネイルサロンを開業したばかりだったと説明。「幸福の絶頂にいた被害者の命が奪われた結果は極めて重大で、遺族の処罰感情は峻烈(しゅんれつ)だ」と述べた。 弁護側は、大内被告は初めての恋人だった小松本さんに執着する異常さを自覚し、専門家に相談するなど「必死に踏みとどまろうと葛藤していた」と反論。「自省する心があって更生できる」と訴え、包丁の使用についても、突発的で計画性はなかったと強調した。 被害者遺族の代理人弁護士も意見を述べた。「生まれるはずだった長男の人生も奪ったことを最大限考慮してほしい」と主張し、無期拘禁刑を求めた。 大内被告は最終意見陳述で、裁判長から「最後に述べておきたいことはありますか」と聞かれ、「ありません」と即座に答えた。 起訴状などによると、大内被告は25年12月31日の夕方ごろ、アパートで小松本さんの頭などをハンマーで多数回殴るなどして殺害。同28~31日にアパート近くをうろつき、小松本さんの車のナンバープレート裏側に紛失防止タグを取り付け、ストーカー行為をしたとされる。 ■夫「一生許さない」 検察側の論告に先立ち、被害者参加制度で裁判に加わっている小松本遥さんの夫の意見を代理人弁護士が代読し、「遺族一同、(大内拓実)被告を一生許すことはできない」と厳罰を求めた。 夫婦は2025年7月7日に入籍し、事件当時小松本さんは妊娠5カ月。結婚記念日となる今年の七夕が出産予定日だった。生まれてくる子どものために用意したベビー用品は、今も小松本さんの荷物と一緒に保管しているという。 事件から約9カ月。夫は「平凡でささやかな幸せは、あまりにも理不尽な理由で奪われた」と訴え、「遺族は事件から現在まで一度も心安まることのない、地獄のような日々を送っている」と振り返った。 事件後、大内被告から遺族に対し謝罪や弁償の連絡はなかった。公判で夫は検察官と並んで座って大内被告の様子を見続けてきたが、目が合ったり大内被告が頭を下げたりすることは一度もなく、「事件に真摯(しんし)に向き合っている姿勢も、反省の気持ちも感じられなかった」。 逮捕後に黙秘を続けていた大内被告が、一転して起訴内容を認めたのは、公判前整理手続きが始まった今年5月ごろ。夫は事件後に凶器が発見されたことなどを挙げ、「証拠があることを知り、諦めと打算から犯行を認めたのだろう」とも指摘した。 小松本さんとおなかの子、遺族の無念は「言葉で表すことはできない」と強調した夫。「私たちはこの苦しみを一生背負って生きていく。法の許す限りの厳罰を希望します」と述べた。

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