■「こちらから申し上げることは控えたい」 論理的な思考よりも感情的な言動が勝ってしまうのだろう。高市早苗首相が9月16〜17日、第2次高市改造内閣・自民党役員人事を行った。骨格は変わらず、林芳正前総務相、石井準一前参院幹事長を非主流派に転じさせた人事が耳目を集めるが、引き続き首相の国会審議への向き合い方が問われよう。 林氏の処遇については、昨年の総裁選で戦った小泉進次郎防衛相、小林鷹之政調会長、茂木敏充外相の留任が早々と報じられたのに対し、なかなか決まらなかった。林氏が党所属衆院議員への役職希望アンケートに白紙で提出したためで、首相からの問い合わせに「首相の専権事項なので、こちらから申し上げることは控えたい」と返したことから、首相が感情を害し、林氏をポストから外したといわれている。林氏は切られたのではなく、自ら閣外に出たとも解されるだろう。 石井氏の交代については、党内外に驚きとともに同情論が広がっている。国会対策を知らない、参院が分からない、そんな首相が10月5日召集の臨時国会に消費税減税法案や衆院定数削減法案といった与野党対立法案を提出するというタイミングで、少数与党の参院の国会運営を仕切るドンを「目障りだ」と更迭する挙に出た、と受け止められたからだ。 2月の衆院選で大勝した首相は、今や「女帝」と化す。誰の言うことも聞かない。永田町に「反高市」のマグマが溜まりつつあることにも意を介さないのではないか。 ■「いよいよ実行のステージに入った」 高市首相の政権運営の手法はシンプルだ。誰とも議論することもなく、自ら紙の資料を読み込んで決定した案件について、政府関係は木原稔官房長官に指示し、財務省関係は片山さつき財務相に降ろす。党に関係する案件は専ら萩生田光一幹事長代行、政策の一部は小林政調会長を通じて指示する。その指示に疑問を挟むことは許さないのだという。 2027年秋の総裁再選をにらめば、党人事は麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長ら麻生派を軸とする体制に手を加える必要はない。旧安倍派の萩生田氏、西村康稔選挙対策委員長、松野博一組織運動本部長も留任させた。 内閣改造では、木原、片山、茂木、小泉の各氏、城内実成長戦略相ら主要閣僚を留任させている。首相は、記者会見で「決断と挑戦を続けてきたが、いよいよ実行のステージに入った」と、その現状認識を語った。