大統領警護次長による未明の「尹大統領逮捕令状に積極対応」指示にも…警護官らが道を開けた

15日、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の2回目の逮捕令状執行が1回目の時とは違って順調に行われたのは、大統領警護処指揮部の分裂を誘導した警察特別捜査団と高位公職者犯罪捜査処(公捜処))の心理戦が功を奏したという分析が出ている。 この日未明、警察と公捜処がソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸に進入する際、警護処は道を開ける方法で事実上協力した。尹大統領と、強硬派で知らされたキム・ソンフン警護次長はこれを予想できなかったという。キム次長はこの日未明、警護処職員に対して逮捕令状執行に積極対応しようと督励したというのが警護処内部の話だ。だが、これに応じた警護処職員はほぼいなかった。警護官の大多数は事務室や官邸の中の待機棟から出ないか、休暇を使うなどして執行阻止に出なかったという。 3日の1回目執行当時、警護処要員と首都防衛司令部第55警備団兵士は人間バリケードを作って侵入を阻んだ。キム・ソンフン次長とイ・グァンウ警護本部長らが阻止しなければならないと力説したという。警察は先週「穏健派」に挙げられる朴鍾俊(パク・ジョンジュン)前警護処長とイ・ジンハ警備安全本部長の調査を通じて、指揮部内で意見が分かれている点を把握した。その後、キム次長とイ警護本部長らには事前逮捕令状を発付して圧迫程度を高め、同時に穏健派や実務陣などには免責カードを前に出した。 公捜処は12日、警護処に「警護処構成員が令状執行を妨害する場合、特殊公務執行妨害、特殊公務執行妨害致傷、職権乱用などの容疑で処罰を受けたり民事上不法行為による損害賠償責任を負ったりする場合がある」という内容の公文書を送った。公文書には「警護処職員の場合、令状執行を阻止するように命じる違法な命令に従わなくても職務放棄罪成立など命令不履行に伴う被害はないことをお知らせする」という内容も含まれた。 判事出身の法曹人による外堀支援もあった。ソウル市立大法学専門大学院のチャ・ソンアン教授とオ・ジウォン弁護士は警護処職員に対して「不当指示不服従は正当だ」とし、逮捕令状執行を阻止しないよう促した。チャ教授は「不当指示拒否釈明書」様式を紹介して警護処職員が上部の不当な指示に対応できる具体的な方法も共有した。実際、官邸前で配布した様式を多くの警護処職員が受け取っていったという。 警察は令状執行に阻止する職員を現行犯逮捕して複数の警察署に分散護送して調査するという具体的な作戦も異例公開した。このような計画が伝えられ、実務陣の間には尹大統領のためにそこまで身を挺する必要がないという意見がさらに広がったという。2回目の逮捕令状有効期限を長めに確保して細部シナリオを点検したことも平和的逮捕令状執行に一役買った。警察と公捜処は逮捕令状期限を1回目の時(7日)よりも余裕を持って21日までにしたものを受けた。その後3回にわたり首都圏広域捜査団指揮官を集めて具体的な計画を組んだが、この過程がメディアの報道で伝えられた。 人海戦術戦略も展開した。警察は1回目の逮捕のときよりも10倍以上増えた1200人規模の警察投入を事前予告した。警察はこの日、尹大統領を逮捕しながらもキム次長とイ本部長は逮捕しなかった。特捜団は「尹大統領側の要請があった」と説明した。

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