参政党は2020年の結党後、急速に党勢を拡大して2022年の参院選で国政政党となった。従来の政党とは何が違ったのか。創立メンバーでジャーナリストの篠原常一郎さんは「党員は予想を超える速さで増えた。オンラインのサブスクだとこんなに早く広がるのかと驚いた」という――。 ※本稿は、橘玲・石戸諭・鈴木エイト・黒猫ドラネコ・篠原常一郎・山崎リュウキチ『陰謀論バカ 排外主義者に洗脳される一億総「情弱」時代』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。 ■発信力を持つ「バズる」人材をスカウト 「神谷は僕に、『発信力のある人を集めて政治をやりたい』と言いました。当時、僕のユーチューブチャンネルの登録者は10万人ほどいた。僕を仲間に入れたのも、政治経験だけでなく、その数字を見たんでしょう」 政治思想や専門性よりも、ファンや支持者を集める力を重視する。ネット発の政党としては合理的な考えだろう。だが、莫大な数の発信者が存在するネット上で、見る者の目に留まるのは至難の業だ。多くのユーチューバーが過激な言動に走るなか、参政党が陰謀論を選んだとしても何ら不思議はない。政治的な能力をひとまず脇に置き、「バズる」人材を党に引き込んだことで、当初から陰謀論をばら撒く危うさもはらんでいたのだ。 一方、篠原が描いた参政党の青写真は、既成政党をモデルにしたものだった。 「共産党や公明党をモデルにしました。でも、上から言われたことに下が従う党にはしない。地方に党員がいる強さは取り入れ、悪いところは排した近代的な政党にしたかったんです。 党首や幹部の鶴の一声ではなく、党員が候補者を選ぶ。参政党という名前にも、投票するだけでなく、自ら政治に参加するステージをつくるという意味があった。 でも、今では地方組織が落とした候補者に、神谷が無理やり公認を出して選挙に出したりしている。このやり方に困惑している地方組織から、僕のところにも苦情や相談がいくつも届いています」 ■共産党と公明党の強みだけ取り入れる 自らが身を置いた共産党からは組織運営を、公明党からは地域に根を張る強固な地盤づくりを採り入れる目論見だった。 「選挙で落選しても地域には支部と党員が残り、落選した翌日から次の選挙へ向けて動き出せる態勢だけを取り入れようとしました。 ただ、ネット発の政党だけに、オンラインで入党する党員も少なくなかったんです。そこで各地でボードメンバーを囲む食事会を開いた。党幹部と初めて顔を合わせる党員も珍しくなかったですが、それによって党の一員としての当事者意識を強く抱いたことは間違いない。実際、この会食をきっかけに多くの地方支部が誕生しました」