名古屋市の歯科医院で外国人留学生を診療したと偽り、診療報酬をだまし取ったとして、警視庁は、歯科医師や日本語学校元職員の男ら7人を詐欺容疑で逮捕し、16日に発表した。同庁は7人が虚偽の診療報酬明細書(レセプト)を作成し、2023年3~6月に計約2千万円だまし取ったとみている。 国際犯罪対策課によると、逮捕されたのは会社役員の藤原勇気(43)、歯科医師の大石旭(61)、歯科医師の小山大貴(34)、団体職員の水谷旭宏(35)の4容疑者と、愛知県の日本語学校元職員のネパール国籍の男(37)ら3人。いずれも認否を明らかにしていない。 7人の逮捕容疑は共謀して一昨年6月上旬、小山容疑者の名古屋市西区の歯科医院で、ネパール人留学生ら62人を診療したとするうその診療報酬明細書を作成し、国民健康保険団体に提出。同市などから診療報酬約287万円をだまし取ったというもの。 藤原、大石容疑者ら4人は昨年10月、東京都江戸川区の歯科医院で同様に留学生らを診察したように装い、診療報酬をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕、起訴されている。(長妻昭明) ■7人で役割分担か 捜査関係者によると、7人は診療報酬をだまし取る目的で、歯科医院の設立から留学生の手配、診療報酬明細書(レセプト)の作成まで役割を分担していたという。 事件を主導したのは藤原、大石両容疑者とみられている。 「無料で歯科検診ができるから、日本語学校の生徒を集めて欲しい」 藤原容疑者らはまず、愛知県内で外国人派遣業を営んでいた水谷容疑者にこう持ちかけていた。 さらに、実際に健診を行う「場所」として、歯科医師の小山容疑者らに対し、名古屋市西区に歯科医院を設立するよう依頼していたという。