大阪地検特捜部が手がけた事件の取り調べ中、「検察なめんな」と怒鳴ったなどとして、特別公務員暴行陵虐(りょうぎゃく)罪に問われた検事、田渕大輔被告(54)=現東京高検=の第4回公判が6日、大阪地裁であった。この日は弁護側の立証が始まり、冒頭陳述で「刑法上の『陵虐』にはあたらない」として無罪を主張した。 田渕被告の起訴内容は、2019年12月に大阪拘置所の取調室で、業務上横領容疑で逮捕された不動産会社「プレサンスコーポレーション(当時)」部長だった男性=有罪確定=に対し、長時間責め立てたり、机をたたいたりして陵虐したというものだ。 検察官役の指定弁護士は7月の初公判で、特捜部がプレサンス社の社長だった山岸忍さん(63)の事件への関与を疑ったと指摘。田渕被告が、山岸さんの関与を否定する元部長を約50分間、ときおり大声を上げながら「検察なめんな」などと罵倒し、その翌日には「あなたはプレサンスの評判をおとしめた大罪人」などと約9分間にわたって責めたと主張している。 一方、弁護側は6日の冒頭陳述で、田渕被告の取り調べに暴行はなく、相手の元部長も連日弁護人と接見して、苦情申し立てをしていなかったと指摘。元部長本人はこれまで田渕被告の取り調べについて、一貫して「脅されたとは思っていない」と説明している、とした。 また、暴行がないのに特別公務員暴行陵虐罪に問われた裁判は「我が国で初めて」として、陵虐にあたるか「厳格に判断されるべきだ」と訴えた。 取り調べは全18日間、約70時間に及んだが、弁護側は、当初は部長の言い分を聞いたり、身の上話をしたりする場面があったと説明。「検察なめんな」などと語気を強めたのは、家宅捜索で見つかったメモが男性のそれまでの説明と矛盾しており、追及するためだったとした。 その上で「被告一人を有罪にしても検察のあり方は変わらない。被告を有罪にして全て問題が解決するという考えは『とかげの尻尾切り』だ」と主張した。(新谷千布美)