米兵が強盗殺人容疑で逮捕された事件に対する高市早苗首相、茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相らの反応は素早かった。 高市首相は衆院本会議で行った所信表明演説の冒頭、この事件を取り上げ、米軍に対して綱紀粛正と再発防止の徹底を強く求めたことに言及した。 7日には、就任したばかりの古謝玄太知事と面談し、実効性のある措置について取り組む考えを強調した。 性犯罪など米兵による重大事件が発生すると、判で押したように、首相や大臣が強い調子で事件を非難し、再発防止と綱紀粛正を求める。 米軍の再発防止策によって、若い米兵の基地外での行動にブレーキがかかり、事件発生に歯止めがかかる。だが、それも長続きせず、再び事件が起きる。 現時点で政府の素早い対応を素直に評価する気になれないのは、これまで同じことが繰り返されてきたからだ。 政府、米軍、沖縄県に切実に求められているのは、掛け声だけでなく文字通り実効性のある再発防止策を打ち出し、あしきパターンを終わらせることだ。 第3海兵遠征軍司令官で在沖米軍トップの沖縄地域調整官を兼ねるベンジャミン・ワトソン中将は6日夜、新たな対応策を打ち出した。 7日正午からの48時間、通常の活動を停止し、期間中、基地外での自由行動に加え基地内外を問わず飲酒を禁止するという。■ ■ さらに9日から30日間、「反省期間」として全隊員を対象に午前0時から5時の間、外出を禁止する。 米兵の基地外での行動を規制する「リバティー制度」の見直しも図るという。 いち早く具体策を打ち出したのは、19日から始まる日米共同統合演習「キーン・ソード」を前に、抗議の声が全県規模に広がるのを警戒しているようにも見える。 問題はその特別対応の期間が過ぎた後、再発防止策をどのように維持するかという点だ。 沖縄に派遣された兵隊に対しては、研修を通して、沖縄の歴史や性犯罪に対する厳しい見方を徹底して伝える必要がある。 だがそれだけでは、これまでの対応とあまり変わらない。なぜ、沖縄で、性的暴行事件が繰り返されるのか。■ ■ 「男性性」を強調する海兵隊の組織文化に関わる問題と、沖縄への基地集中・海兵隊集中という問題が頻発する事件の背景にあるのは明らかだ。 在沖米軍の主力は海兵隊で、10〜20代の独身男性が多い。彼らは刺激を求めて基地の外に繰り出し、時にアルコール絡みの問題行動を引き起こす。 性犯罪は女性の人権を脅かし尊厳を傷つける。違反者に対して厳罰で臨むことが事件の抑止につながるはずだ。 今回の事件は沖縄の犠牲を前提にした日米安保体制の限界をも示している。