特殊詐欺事件に加担する若者が後を絶たない。愛知県内では、昨年1年間に特殊詐欺に関与したとして摘発された19歳以下が過去最多の53人に上った。2023年以降、3年連続で増加しており、危機感を募らせる県警は小中学校などに赴いて闇バイト防止教室を開くなど、抑止対策を強化している。(小此木日向花) 「一度手を出したらどんな未来が待っているか考えましょう」。8月に名古屋市港区の宝神中学校で開かれた「闇バイト加担防止教室」。約500人の生徒を前に、講師を務めた県警少年課員が、詐取金を受け取る「受け子」として摘発された少年のインタビュー映像を交えながら、闇バイトの危険性を訴えた。 インタビュー映像に登場する少年は、「40万~50万円稼げるバイトがある」という友人の誘いから安易な気持ちでSNS上の闇バイトに応募したことなどを説明。「個人情報を渡したことで『家族の身も危ない』と脅されて引き返せなかった。メリットは一つもなかった」と後悔を口にした。 3年生の男子生徒は「ただスライドを見るより危険性が伝わった。引き返せる分岐点を見極めることが大切だと学んだ」と話した。 ◇ 県警のまとめでは、特殊詐欺で摘発された19歳以下の若者は、10年前の2016年は38人で、コロナ禍の2020年には18人まで減少したが、23年以降は増加が続く。 昨年1年間に県内で摘発された53人のうち、受け子が29人、現金を引き出す「出し子」が11人で約8割を占めた。大半が先輩や友人からの紹介やSNSを通じて闇バイトに応募していたとみられ、県警幹部は「SNSが入り口となって周囲を巻き込むケースが多くなっている」と指摘する。 7月31日には、尾張旭市の高齢女性から現金80万円をだまし取った疑いで知立市の当時16歳の少年が逮捕された。少年は受け子で、「借金があったのでやった」などと話したという。 ◇ 県警による闇バイト加担防止教室は、昨年は1年間に県内37校で実施したが、今年は6月末までに小中学校や専門学校など既に24校で実施し、回数を増やしている。県警幹部は「実際の事例を見ることで自分の身に置き換え、先を見通す力の育成に効果があると考える」と強調する。啓発のためにユーチューブで少年のインタビュー映像の公開も始めた。 県警少年課の中山俊亜次長は「少年はコマとしていいように使われやすい。甘い言葉に安易に乗らずに大人に相談してほしい」と呼びかけている。