[ローマ 28日 ロイター] – イタリアのメローニ首相は28日、国際刑事裁判所(ICC)が人道に対する罪などで逮捕状を出していたリビア人の警察幹部を釈放したことで、自身がイタリア検察の捜査対象になっていると明らかにした。 殺人、拷問、レイプなどの容疑でICCが逮捕状を出したのはリビア人のオサマ・エルマスリー・ニジェーム氏。イタリア側はニジェーム氏の身柄を北部トリノで拘束した数日後に釈放し、政府機でリビアに帰国させた。 ICCは、釈放に関して事前に相談がなかったとしてイタリア政府に説明を求めている。 こうした中でメローニ氏はソーシャルメディアに、犯罪ほう助や公金の不正利用などの疑いで、ピアンテドージ内相ら他の閣僚3人とともに自らが捜査対象にされたと投稿した。 内相は先週、ニジェーム氏を釈放後速やかに帰国させたことに関して「安全保障上の理由」と発言している。 メローニ氏は、ニジェーム氏の釈放と帰国に伴うイタリア政府機利用は不適切だと弁護士の1人が申し立てたことが捜査につながったとの見方を示した上で「脅迫に屈するつもりはない」と語った。 イタリア政府はこれまで、リビアからの移民希望者の流入を防止する面で、リビアの治安当局の協力に大きく依存してきた。 一方、イタリアで包括的な司法制度改革を推進する政府と司法部門が対立関係にある点から、メローニ氏支持者からは今回の捜査が政治的動機に基づいていると非難する声も出ている。