1月25日午前3時45分頃、オランダ・アッセンのドレンツ美術館の入り口付近で爆発が発生。フードをかぶった3人の人物が爆破されたドアから内部に侵入し、ルーマニアの古代遺物であるコトルフェネシュティの黄金の兜と、古代ダキア人の金の腕輪3点を奪って逃走した。時間にして3分ほどの出来事だった。 犯行現場の近くでは車が炎上しているのが発見され、オランダ警察が強盗事件との関連を視野に捜査を続けている。窃盗団はこの車に火をつけ、別の車で逃走した可能性が高いと見られている。 事件を受け、ドレンツ美術館のハリー・トゥパン館長は次のような声明を出した。 「アッセンのドレンツ美術館とブカレストのルーマニア国立歴史博物館にとって、暗黒の日になりました。私たちは昨夜の出来事に大きなショックを受けています。美術館の170年の歴史の中で、このような大事件は一度もありませんでした」 同美術館では24時間体制での監視は行われているが、警備員が詰めているのは日中のみだという。 盗まれた黄金の兜は紀元前5世紀頃のもので、重さは1キロほど。神話の場面や着用者の額にあたる部分の一対の目など、精巧な装飾が施されており、儀式に使われたと考えられている。 ルーマニアのイオン=マルチェル・チョラク首相は、盗まれた遺物の一刻も早い回収を求め、ソーシャルメディアにこうポストした。 「オランダ当局が犯人を逮捕し、計り知れない価値があるルーマニアの貴重な文化財を取り戻すために全力を尽くしてくれると信じています」 盗まれた古代遺物は、ルーマニア国立歴史博物館からの巡回展「Dacia – Empire of Gold and Silver(ダキア─金と銀の帝国)」の展示品の一部で、2024年7月からドレンツ博物館に陳列されていた。