フィリピン、スパイ容疑で新たに中国人5人逮捕 「氷山の一角」

【AFP=時事】フィリピンの治安当局は30日、5人の中国人をスパイ容疑で逮捕したと発表した。フィリピンでは今月すでに、中国人1人が同じくスパイ容疑で逮捕されている。 国家捜査局(NBI)のジェイミー・サンティアゴ長官は記者会見で、5人の内2人は先週、ドローンと太陽電池式の高解像度カメラを使用し、パラワン州にある海軍や沿岸警備隊、空軍の基地や造船所を無断で撮影したとして首都マニラの空港で身柄を拘束された。2人は、南シナ海でフィリピンと中国が領有権を争う南沙諸島(スプラトリー諸島)の駐屯地に物資を補給するフィリピンの海軍や政府の船舶を監視していた疑いが持たれている。 フィリピン軍のロメオ・ブラウナー参謀総長は「彼らを国家安全保障にとって非常に危険だと考えている。当然ながら、これが他国の手に渡れば、わが国の基地職員や船舶の乗員にとって大きな危険となり得るからだ」と説明した。 サンディアゴ長官によれば、マニラ市内の場所で別の中国人の男2人が逮捕された他、先週には中部ドゥマゲテでも中国人の男1人が逮捕された。 容疑者らは海産物の買い付け業者や合法的な組織のメンバーに扮(ふん)していた。 これに先立ちフィリピン当局は今月、軍と警察の施設を無断に撮影するなとした中国人ソフトウエアエンジニアの鄧元清容疑者とフィリピン人2人をスパイ容疑で逮捕した。この時の追跡調査が一連の逮捕につながった。鄧容疑者の逮捕について在フィリピン中国大使館は容疑を否定している。 NBIサイバー犯罪対策課のジェレミー・ロトク課長が目撃者からの通報内容として語ったところによれば、鄧容疑者は中国本土にいる匿名の「(フィリピン人から見た)外国人」の指示で、今回逮捕された5人の容疑者と毎月1回会っていたとされる。 ブラウナー参謀総長は、フィリピン当局は収集された情報の最終的な受取人をまだ特定できていないとして、国家主導のスパイ行為だと結論付けるのは時期尚早だと指摘。 一方で、「これは氷山の一角にすぎない。こうした(スパイ)活動を行っている者が今後も多数捕まる可能性がある」「まだまだいる」と付け加えた。 逮捕された容疑者らについて移民局のダナ・サンドバル報道官は、中には2002年からフィリピンに居住していて、犯罪歴のない者もいると説明している。 治安当局は、互いに手錠でつながれた容疑者5人をメディアに公開。押収した「軍用レベル」のスパイの道具も披露した。 AFPは、5人について在フィリピン中国大使館にコメントを求めたが、回答は得られていない。 同大使館は25日、鄧容疑者に対する容疑には「根拠がない」と非難。領事に同容疑者を訪問するよう指示するとともに、フィリピン政府に対し「同国内における中国国民の正当な権利と利益を保護する」よう求めたという。【翻訳編集】 AFPBB News

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