ススキノ殺人裁判 被害者を「シカ」と

札幌・ススキノでおととし、男性が殺害され、親子3人が起訴された事件。死体遺棄や死体損壊を手助けした罪などに問われている母親の田村浩子被告(62)の8回目の裁判がきょう、札幌地裁で開かれました。 ススキノのホテルでおととし7月、恵庭の会社員男性が殺害され、頭部を切断された状態で見つかった事件では札幌・厚別区の田村瑠奈被告(30)ら親子3人が殺人などの罪でそれぞれ逮捕・起訴されています。 昨年12月20日はインフルエンザ感染で延期されていた母親の裁判。死体遺棄や死体損壊を手助けした「ほう助」の罪が成立するかが争われていて、きょうは被告人質問が再開されました。 検察側や、最後の裁判官らと田村浩子被告の主なやり取りは以下の通り。 【検察側と浩子被告】 Q どうして暴力団関係者というストーリーを作って脅してまで、被害者と会わせたくなかったのか? A 5月の最初の出会いのときに瑠奈にされたことが心配で。娘はその後、再会できることを楽しみにしていたけど、密室でまた二人、エスカレートしたらどうなるのか。また意に反したことをされないか、という心配をしていた。 Q 修被告も? A 私のそういう気持ちは伝えていたし、分かってくれてはいたけど、ちょっと「温度差」はありました。 (中略) Q 瑠奈被告自身には被害者と再び会わないようにと説得はしていない? A 娘は見つかるはずがない人を見つけ出して、仲直りをして、関係を修復して、(事件当日の)再会の約束をしてきた。引きこもりでお友達もいないような娘。その成功体験を無下にして、やめてとは言えなかった。 (中略) Q 「首を拾ってきた」というやり取りについて。普通は落ちていないものですよね? A はい。突拍子がないことを言っているとは思ったが・・・どういうことなのかなと思っている間に次の話に移ったので深堀りしなかった。 A 「おじさん」とは誰だと思った? Q 言われたとき誰だと考えていたのか、今は覚えていません。 Q 娘が人を殺したとは思わなかった? A そのときははっきりとは思わなかった。 Q 確認をして安心をしたいというのは? A そこまで真に受けていなかったというのがよろしいかもしれません。 (中略) Q 事件当時、あれだけ両親2人とも心配していたというが、送迎役だった修被告とやり取りをしていないことについて。相手と合流したかどうかなどなぜ修被告に確認をしていない? A ホテルの中では瑠奈と相手2人だけ。(少し語気を強めて)修さんに確認をしても無意味だと思います。 (中略) Q 事件後の午前3時すぎ、削除されているラインのやりとりについて。内容は思い出しませんか? A 思い出せません。 (中略) Q あなたは娘が被害者のことを探そうとしていることをどう思っていた? A 「(会って)謝ってほしい」というトーンに変わっていったので、謝ってもらえたら娘の気持ちも収まるかなと思っていた。最初に会った5月にされたこと、私は娘から聞いていたので本当に謝ってもらえるのか。「できればそのような人とは会わないでほしい」とは思っていた。 (中略) Q 浩子被告と修被告の間のラインのやり取りで、(浩子被告が)「シカ」と入力する前に「獲物」と入力して消していることについては? A 娘との会話の中で打ちかけて変えたんだと思います。(証拠の)記録があるならば、私が打ったんだと思います。 Q 会ってほしくないと? A はい。 Q なのに、シカとか獲物とかの言葉も覚えていない? A 取り調べの段階で全く覚えていませんでした。 (中略) Q 事件当日に父・娘が自宅を出発する前に、浩子被告から「車のGPS記録は残りますか?」という趣旨のラインが修被告に送られているのを覚えていますか? A (取り調べなどで)教えて頂いて分かった。娘に言われたことをそのまま送ったんだと思う。 Q 送った記憶がないということだが、なぜ気にしていたの記憶もない? A 気にしていた記憶がないのでそのようなお答えになっている。 Q なぜ瑠奈被告はGPSを気にしていたのか? A いや、(心当たりは)ありません。 (中略) Q エタノールを頼まれて買っている。「あなたにはこれくらいしかできないと思うから」と瑠奈被告から頼まれた? A 私は免許は持っているがペーパードライバーで運転していない。近くの用事なら足せるということだと思う。 Q 7月24日の取り調べ時には「娘の計画に必要なものだったから買った」という趣旨の発言をしている? A それは私の言葉ではないと思います。 (中略) Q SMプレイのためという金髪のウィッグ。購入の理由は聞かなかった? A カメラに女装したおじさんと映るのが嫌だからウィッグと帽子が必要、そういう話だったと記憶している。 Q それは購入者の修被告にも伝えた? A 特に(伝えては)ありません。 Q 逮捕前の供述、覚えていますか? 「瑠奈被告が防犯カメラに顔が映ると困るから」というミステリー小説のような言い回しで修被告に頼んでいた、とあるが? A (その当時)防犯カメラとは(私は)言っていない・・・と思う。 Q 「絶対に見つけて仕返しをする。殺してやりたい」と言っていたと? A ありません。それは取り調べのときに刑事が言った言葉です。 Q あなたが言ったからでは? A 違います。 (中略) 【裁判長からの被告人質問】 Q 瑠奈被告は6月18日に(被害者と)仲直りをして7月に会うことになった。その間、あなたは2人が次にすることはSMプレイをすることだと思っていた? A 娘が「前は好きなようにされたので、今度は私が好きにさせてもらう」と。娘の口からSMのような言葉が出ていたんだと思います。 Q 娘との関係を裏切りたくなかったと言っていた。刑事責任は置いておいて、その対応について今、どう思っているか? A ≪涙を流し声を詰まらせながら≫ そのときはそれしかできなかったが、●●さん(被害者)やご家族の気持ちを考えると、私が任意の取り調べに連れていかれるまでの間、「世界が崩れ落ちる」「地獄が目の前にある」などと思っていたことについて、●●さんのご家族はそれ以上の気持ちだったはず。私が何もできなかったことは、決して正しかったとは思いません。 Q これから先はどう暮らしていくのか? A この先どうなるのか、全く分からないが、まず第一はご家族の方々に夫とともに被害弁償をさせて頂きたい。 Q それは娘さんのことで迷惑をかけたからですか? A はい。それから娘を支えていかなければならないとも思いますし、きちんと受け止めて、一生背負って暮らしていかなければならないと思っています。 浩子被告の次回の裁判は、3月17日を予定しています。

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