混雑する深夜の埼京線で…外国人“ハコ師”「満員車内で窃盗繰り返しか」ベトナム人犯罪急増の特殊事情

乗客でごったがえす終電前のJR埼京線。男はスマートフォン操作に熱中する男性の持つポーチに手を入れ、中から多額の現金が入った財布を抜きとった――。 警視庁捜査3課は2月10日に、窃盗の疑いで埼玉県朝霞市に住むベトナム国籍で職業不詳チャン・キム・ニャット・ミン容疑者(30)の逮捕を発表した。 「逮捕容疑の事件は2月8日の深夜11半ごろ起きました。ミン容疑者はJR池袋駅から板橋駅へ向かう満員の車内で、スマホを操作していた30代男性の背後に。現金約25万円や運転免許証など計14点の金品の入った財布を、男性のポーチから盗んだとされるんです。車内は身動きがとれないほど混雑していたとか。 埼京線では今年1月の深夜にもスリ被害が起きるなど、同様の窃盗事件が続発していました。警戒中の捜査員が、男性のポーチに手をかけるミン容疑者を確認。板橋駅で下車し、男性の財布を手にしていたミン容疑者を現行犯逮捕したんです。警察の調べに対し、ミン容疑者は『何も話したくありません』と供述しています」(全国紙社会部記者) 電車内専門にスリを繰り返す、いわゆる“ハコ師”とみられるミン容疑者。2月10日に行われた送検では、集まった報道陣に対しとまどったような表情をみせていた。 ◆若いベトナム人女性を男性客の隣に座らせ…… 近年、ベトナム人による事件が相次いでいる。’17年以降、外国人犯罪の国籍別検挙数で中国を抜きトップに。全体の30%から40%を占めるのだ。主なトラブルを以下に紹介したい。 ・’20年10月、群馬県内で30代のベトナム人ら男女13人が逮捕される。深夜に北関東地方を徘徊し、家畜や野菜を盗んでいたという。グループは家畜の盗み役、見張り役、運転手と役割分担。牛刀やモデルガンなどを所持し、見つかった際に反撃する用意をしていたとみられる。 ・’24年11月、都内の歓楽街で飲食店を経営していた20代のベトナム人女性を逮捕。風俗店で働けない若いベトナム人女性を、カウンター越しではなく男性客の隣に座らせ接客させるなど不法就労させていたとされる。店の売り上げは、逮捕直前までの5年間で4億円を超えていたという。 ベトナム人による犯罪急増の背景を、元神奈川県警の刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「そもそも技能実習を受けるために来日するベトナム人が増えていますが、離職する人もとても多いんです。大半のベトナム人はマジメに働き技能を習得しようと熱心に勉強しています。しかし、残念ながら日本の仕事の進め方や風土が合わず離職し生活に困窮してしまう人も一定数いるんです。 一方で、技能実習のビザを取得しながら犯罪目的で来日する人間もいます。ベトナム人ブローカーを介し、犯罪グループを形成しているケースもある。彼らは窃盗や万引きを繰り返し、『運び屋』と呼ばれる人間に盗難品を託して母国に送っているんです」 冒頭で紹介した事件で、警察はミン容疑者に余罪があるとみて捜査を進めている。

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