終戦交渉が可視化し、次期大統領選挙をめぐるウクライナ政界の暗闘が激化している。今回の暗闘劇の主演はロシアに対抗して戦争を率いているゼレンスキー大統領と軍幹部だ。 16日(現地時間)のキーウインディペンデントによると、ウクライナ国家捜査局は先月末、軍幹部3人を逮捕した。ホルベンコ中将、ハルシュキン准将、ラピン大佐だ。 国家捜査局は3人に対し、ウクライナ東北部ハルキウ(ハリコフ)州に対する昨年5月10日のロシア軍の大々的攻勢を防げなかったという容疑を適用した。国家捜査局はホルベンコ中将に対しては部隊配置と兵力の装備具備、火力支援と通信をまともにできなかった責任を、ハルシュキン准将にはホルベンコ中将が率いる部隊への火力および空軍支援を十分にしなかった責任を問うた。ラピン大佐には防御陣地構築の失敗と部隊員の脱営を問題視した。 国家捜査局は「彼らの服務怠慢でロシア軍がウクライナの領土を占領した」とし「人材と武器の損失も彼らのため」が発表した。 しかし逮捕された軍幹部は反発した。ハルシュキン准将はロシア軍の接近を参謀本部に報告して支援を要請したが、「現在の人員で対応するべき」という指示だけを受けたという。ハルシュキン准将は500万フリヴニャ(約11万8000ドル、約1800万円)の保釈金を出して釈放されたが、国家捜査局は数時間後に「新たな容疑が見つかった」としてハルシュキン准将を再逮捕した。ハルシュキン准将の弁護人は「全く新しい容疑はなく、従来の捜査資料をそのままコピーしただけだ」と批判した。 キーウインディペンデントは「将軍の事件」として伝えられる今回の捜査に関して「今年戦争が終われば行われる可能性がある大統領選挙を控え、軍指導部の人気を落とそうとする強引な試み」と分析した。2019年5月に就任したゼレンスキー大統領は任期5年の大統領職を昨年5月に終了した状態だ。しかし戒厳令の下では選挙を禁止するウクライナ憲法を理由に大統領職を維持している。憲法上再任を認めていて、ゼレンスキー大統領は終戦後に大統領選挙出馬が可能だ。 ウクライナ政治学者のマフダ氏は一連の捜査に関してキーウインディペンデントに「近づく権力闘争に備えて政治権力が軍を抑えようとするもの」と話した。 人気の軍幹部をゼレンスキー大統領が牽制するという疑惑が出てきたのは今回が初めてではない。2022年の開戦初期にロシアの攻勢を防御したザルジニー総司令官に対する国民の人気が高まると、昨年、突然解任して駐英大使として送り出した。 ナエフ中将は2月、あるウクライナ紙のインタビューで「ロシアでも将軍の(作戦)失敗に関しては起訴しない」とゼレンスキー大統領に直撃弾を飛ばしたところ、翌日すぐに東部最前線の小さな部隊に左遷されたという。