Madeline Chambers Miranda Murray [ベルリン 24日 ロイター] – ドイツ次期首相に就任する見通しの保守連合キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のメルツCDU党首は24日、同盟国に背を向けないよう米国に警告する一方、欧州諸国に防衛力強化を呼びかけた。 メルツ氏は記者会見で「われわれが最も懸念しているのは、欧州諸国やウクライナ抜きで、ロシアとウクライナ問題で合意しようとする(トランプ米大統領の)試みだ」と指摘。 これはウクライナにとっても欧州にとっても容認できないとし、「米国第一」主義を掲げる国が実際に「米国だけ」をモットーにすれば困難な状況となると述べた。 23日投開票の連邦議会(下院)選挙で第1党となったCDU・CSUは早急に政権を樹立したい考えだが、極右・極左政党の躍進により、連立協議は難航し、議会では政策が妨害される見通しだ。 選挙では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進。メルツ氏の保守連合は、3位だったショルツ首相の中道左派「ドイツ社会民主党(SPD)」と連立交渉を進める意向だが、特に移民問題を巡る政策の違いで折り合いをつけられるかどうかが焦点となる。 <債務ブレーキ> メルツ氏は借り入れを制限する債務ブレーキの改革に向けて他の政党と協議していると述べた。また、同盟国にも防衛費増額に向けた新たな予算外特別基金の創設について働きかける意向だ。 しかし、新議会では旧共産党系の流れをくむ左派党とAfDが国家の借入制限緩和に必要な憲法改正を阻止するのに十分な議席を有することになり、欧州の安全保障強化に必要な防衛費増額を妨げる可能性がある。 左派党は24日、借り入れ拡大を望んでいるが、資金が再軍備に使われないことが支持の条件になるとした。AfDも左派党もウクライナへの軍事援助に反対している。 <イスラエル首相を招待> メルツ氏はまた、イスラエルのネタニヤフ首相をドイツに招待したと明らかにした。 ネタニヤフ首相には国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているものの、メルツ氏は「イスラエル首相がドイツを訪問できないのは不条理」とし、ネタニヤフ氏との電話会談で「逮捕されることなくドイツを訪問し、出国できる方法と手段を見つける」と伝えたと明らかにした。