イスラム教徒少数民族ロヒンギャのジェノサイド(大量虐殺)を巡り、アルゼンチンの裁判所がミャンマーの国家顧問だったアウンサンスーチー氏や国軍トップのミンアウンフライン総司令官ら25人に対する逮捕状の発行を決定した件で、国連の元特別報告者らが創設した「ミャンマーのための特別諮問評議会(SAC—M)」は20日、各国政府に国際逮捕状の執行を呼びかけた。 同評議会は逮捕状の対象にスーチー氏が含まれていることについて、声明で「法的基準を考慮すれば妥当」との見解を示した。一方で、2008年にミャンマー国軍が起草した憲法により、国軍はスーチー氏や大統領だったティンチョー氏らの文民政府から完全に独立しており、アルゼンチンの裁判所は両氏に軍事作戦の統制権がなかったことを認識しているはずだと指摘。両氏の審理に当たっては、憲法上の背景などが考慮されると予測した。 アルゼンチンの裁判所は、英国ビルマ・ロヒンギャ協会(BROUK)の訴えを受け、21年に普遍的管轄権に基づく訴訟手続きを開始した。 ミャンマー軍事政権に抵抗する民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」は18日、スーチー氏とティンチョー氏に対する逮捕状の取り消しを求める声明を発表している。