繁華街の飲食店や風俗店が暴力団に支払う「みかじめ料」。地代、用心棒代、守料とも呼ばれる昔ながらのシノギ(資金獲得活動)の一つだ。平成4年の暴力団対策法施行以降、みかじめ料の要求も中止命令の対象となり、昭和ノスタルジーを感じさせる死語になるかとも思われたが、令和の今もしぶとく残存。支払う店も、それを巡るトラブルも後を絶たない。 ■ミナミでもキタでも京橋でも… 大阪・ミナミやキタの繁華街で、ガールズバーやキャバクラなど約40店舗を実質経営する男性(59)が支払っていたみかじめ料は、月額70万円に及んでいた。 大阪府警捜査4課は今年1月末、男性からみかじめ料を受け取っていた特定抗争指定暴力団「絆会」本部長、稲山恵容疑者(57)=大阪府寝屋川市=を府暴排条例違反容疑で逮捕した。 捜査関係者によると、稲山容疑者と男性との関係は30年ほど前にさかのぼり、傘下の約5店舗について月70万円を支払う習慣が定着していたという。 この男性らは、同じ大阪市内でもエリアが異なる京橋周辺においても手広く店舗を展開。こちらでは、京橋を縄張りとする特定抗争指定暴力団「山口組」直系弘道会系組長の中川孝行被告(61)=同条例違反で起訴=に月額70万~100万円のみかじめ料を渡していた。 ■語源は「3日締め」だから? そもそも、みかじめ料とは何なのか。語源については、支払いの締め日が毎月3日だったから、要求から3日以内に支払わなければ暴力団に締め上げられるから…と諸説がある。 相場も、エリアや業態、対象店舗の数によってまちまちだが、決して安くはない金額だ。捜査関係者は「ややこしい勢力とのトラブルがあったときに、代紋を持つ本職のヤクザが出てくることに、なにかとメリットがあるのだろう。法にのっとった手続きで紛争解決を目指すより、てっとり早いと考えているのかもしれない」と話す。 ■その性質は「保険」 暴力団情勢に詳しい関係者は「意外といっていいほど、みかじめ料はいまだ暴力団のメインの収入源だ」と明かす。そしてその性質について「とりあえず、どこかの組に払っていればトラブルを回避できる。いわば『保険』のようなものだ」と指摘する。