釈放の尹大統領「国民に感謝」 公邸前では支持者らが弾劾反対デモ

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による戒厳令を巡り、検察は8日、内乱首謀罪で起訴された尹氏の釈放を認めた裁判所の決定に対し、即時抗告しない方針を決定した。ソウル拘置所で拘束されていた尹氏は8日夕、釈放された。 尹氏の拘束が解かれたのは1月中旬に逮捕されて以降、52日ぶり。尹氏は釈放後、拘置所の前に集まっていた支持者の前に姿を現して手を振り、頭を下げた後、大統領公邸に戻った。 更に、「応援を送ってくださった多くの国民と未来世代の皆さんに深く感謝する」との談話を発表した。戒厳令に関わり罪に問われている軍幹部や警察幹部らについて「早く釈放されることを願う」と強調した。 刑事裁判とは別に、尹氏の罷免の是非を判断する憲法裁判所の審理はすでに結審しており、今月中旬にも決定が出る可能性が高い。釈放を認めた地裁の判断は憲法裁の決定には影響しないと見られている。 ただ8日には公邸前に大勢の支持者らが集まり、弾劾審理について「棄却だ!」などと叫んだ。尹氏の釈放により、弾劾に反対するデモは勢いづきそうだ。 尹氏側は逮捕した高官犯罪捜査庁(高捜庁)には内乱罪の捜査権などがないなどとして、2月に拘束の取り消しを裁判所に申請していた。ソウル中央地裁は今月7日、日付単位ではなく、時間単位で計算すれば検察が起訴した際には既に拘束期限が過ぎていたと指摘。高捜庁の捜査にも議論の余地があるとして釈放を許可し、検察は7日間以内に即時抗告をするか否かの判断を迫られていた。 最高検察庁は8日、「憲法で定めた令状主義の原則などを総合的に考慮し、即時抗告はしないと決定した」とのコメントを発表。一方、拘束期間の算定については「現行法の規定はもちろん、長い間、裁判所と検察で形成してきた実務例にも符合しない不当な決定だ」と批判。高捜庁と警察などで作る合同捜査本部からは即時抗告を通じて訴えるべきだとの意見があったとし、地裁に「積極的に意見を開陳するなどの対応」を求めた。【ソウル日下部元美】

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