フィリピンのドゥテルテ前大統領が推し進めた薬物犯罪対策「麻薬戦争」を巡り、フィリピン大統領府は11日、香港からマニラの空港に到着したドゥテルテ氏を逮捕したと発表した。同日朝、国際刑事裁判所(ICC、本部・ハーグ)から人道に対する罪でドゥテルテ氏の正式な逮捕状のコピーを受け取ったという。 大統領府は声明で、ドゥテルテ氏の健康状態は「良好」とした。地元メディアによると、ドゥテルテ氏は長女のサラ副大統領とともに、フィリピン人の出稼ぎ労働者との政治集会に参加するため香港を訪問。帰国したところを拘束された。9日の政治集会でドゥテルテ氏は、ICCの逮捕状について「私の運命なのであれば、受け入れる」と話していた。 ドゥテルテ氏は南部ダバオ市長時代から、薬物密売人らに対し、裁判なしで殺害することも辞さない強硬姿勢で臨んだ。2016年に大統領就任後は超法規的な取り締まりを国レベルでも実行し、6年間の任期中に少なくとも6600人が命を落としたとされる。【バンコク石山絵歩】