東京・高田馬場で起きた女性刺殺事件の現場で、身柄を確保された容疑者を捉えた映像。 うつむきながらパトカーに乗せられたのは、殺人未遂の現行犯で逮捕された高野健一容疑者(42)。 その後の調べで、被害女性に「200万円以上貸していた」などと供述したことなどが分かりました。 事件は11日午前10時前、東京・新宿区のJR高田馬場駅から南に300メートルほど離れた路上で起きました。 被害に遭ったのは、佐藤愛里さん(22)。 当時、現場付近で動画のライブ配信をしていました。 現場に落ちていたのは、佐藤さんが使っていたとみられるスマートフォン用の自撮り棒。 佐藤さんは徒歩で現場に差し掛かったところで、刃渡り13cmほどあるサバイバルナイフを持った高野容疑者に襲われたとみられます。 搬送先の病院で死亡した佐藤さん。 体には、上半身を中心に数十カ所もの傷が残されていたことが分かりました。 犯行後、現場で逮捕された高野容疑者。 その直後の様子を捉えた映像では、抵抗する様子などは見られません。 高野容疑者の供述によると、20歳ほどの年の差がある佐藤さんを知ったきっかけは、4年ほど前に佐藤さんの配信動画を見たこと。 その翌年には、佐藤さんが当時勤務していた飲食店に、高野容疑者が客として訪れたといいます。 その後、佐藤さんから「携帯料金や当面の生活費がない」などと相談され、お金を貸したとしています。 高野容疑者は「(佐藤さんに)200万円を超える金額を貸しているが、返してもらえない状態が続いた。お金は消費者金融で借りた」と供述。 実際、高野容疑者は2024年1月、自宅がある栃木県で、警察に「お金を貸したけど返してくれない」などと相談していたことが分かっています。 そして11日、犯行に及んだ経緯については「佐藤さんが山手線を一周するという配信動画の予告を見たので、事件当日の朝、上京した。配信動画で場所の当たりをつけて被害者を探した」と説明しているといいます。 逮捕直後の調べに、殺意を否認していた高野容疑者。 逮捕された際には、凶器とみられるサバイバルナイフとは別のサバイバルナイフをリュックサックに入れていました。 この2本のサバイバルナイフをどう入手したかについて、高野容疑者は「2、3カ月前に通信販売で購入した」と供述しているといいます。 警視庁は、サバイバルナイフを入手した目的など、事件の詳しいいきさつを調べています。 小雨が降る事件現場には12日、事件を知った人からの花束や飲み物などが手向けられ、静かに手を合わせる人の姿も多く目につきました。 11日午後に規制が解かれた現場。 駆け付けた人は、「受け止めたくない、この思いを。とにかく居ても立ってもいられなくて、手を合わせたいと思ってとんできた」「お願いします。天国に連れて行ってください。犯人が捕まりました。良かったです」と、悲痛な言葉を口にしました。 死亡した佐藤さんが襲われた直後のものとみられるライブ配信動画では、現場近くにいた人が高野容疑者に対して叫んでいるような音声が。 ほかにも、「意識はあるの?」「いや、ないんじゃないですかね」などと、緊迫した現場の状況がうかがえるやり取りも記録されています。 11日、山手線を徒歩で1周するテーマでライブ配信していたとみられる佐藤さん。 現場付近を歩きながらライブ配信をしていたため、高野容疑者に襲われる様子や犯行後の高野容疑者の顔も流れていたとみられます。 調べに対し、高野容疑者は「佐藤さんに200万円以上貸していた」としたうえで、「金を返さないのに配信をしていてやるせなくなった。2023年ごろから会えなくなった」とも供述していることが新たに分かりました。 警視庁は、こうした供述の裏付け捜査を進めています。