宅地建物取引業の免許を持たずに建築物を販売したとして、富士宮署と静岡県警保安課は13日、宅地建物取引業法違反の疑いで、富士市の不動産賃貸業元代表の男(46)=同市=を逮捕した。格安の物件を購入し販売して利益を上げていたとみられ、同署などは取引実態の解明を進めている。 逮捕容疑は2022年9月から24年5月にかけ、宅地建物取引業の免許がないまま、宅地建物を複数販売した疑い。男は当時、同社の代表だったとされる。 同署によると、空き家など格安物件を不動産情報サイトで探して購入し、不動産掲示板サイトに物件情報を投稿して購入者を募ったとみられる。 同法では、各事務所は宅地建物取引業に従事する者5人につき1人以上の割合で、宅地建物取引士証を持つ人を専任として設置しなければならない。同署によると、同社の社員は6人で、1人も資格を取得していなかったという。 違法性認識か 断続的に宅建士募集 13日に宅地建物取引業法違反容疑で富士宮署などに逮捕された富士市の不動産賃貸業者の元代表(46)が、宅地建物取引業の無免許の違法性を知りながら宅地建物の売買を繰り返していた可能性があることが同日、同社関係者への取材で分かった。関係者によると、同社は容疑者を含む社員全員が宅地建物取引士(宅建士)の資格を持たず、断続的に有資格者を募集していた。 県知事への免許申請には、従事者の5人につき1人が会社専任の宅建士であることなどの要件がある。同社はSNSなどで宅建士の求人を出していた。不動産掲示板サイトには2024年11月下旬に「宅建資格保有者(フリー)を募集します」と投稿されている。これまでに応募はあったものの就職には至らず、免許取得の要件を満たさなかったという。 同社関係者は「(容疑者は)違法性を指摘されたら、会社の経営状況が悪くなり、やむを得ず財産を切り離したことにしようと考えていた」と話す。同社は数十軒の物件を保有していて、資金の都合で会社として購入が難しい物件は従業員個人に借金させて買わせたこともあったという。